ビットコインの先物取引では、取引所によって手数料が異なります。
例えば、Maker手数料が0.01%、Taker手数料が0.05%と聞いても、それほど大きな違いには感じないかもしれません。
しかし、取引金額が100万円、1,000万円と大きくなれば、わずかな手数料率の差も無視できなくなります。
さらに、無期限先物を長期間保有する場合は、売買手数料だけでなくFunding Rate(資金調達率)による受け払いも重要です。
今回は、私自身も利用しているMEXC・BingX・Hyperliquidの3つの取引所について、ビットコインの無期限先物と現物取引の手数料を比較します。
実際の取引金額を使った計算例に加え、長期保有時のコストや、取引所を選ぶ際に確認したいポイントも解説します。
なお、海外取引所には日本国内の登録業者とは異なる規制・資産保護上のリスクがあります。利用資格や最新の利用規約を確認してください。
ビットコイン先物の手数料比較一覧
まずは、3つの取引所の無期限先物手数料を比較します。
| 取引所 | Maker | Taker |
|---|---|---|
| MEXC | 0.01% | 0.04% |
| Hyperliquid | 0.015% | 0.045% |
| BingX | 0.02% | 0.05% |
※2026年8月の参考表です。通常料率・割引なしを想定しています。

この条件では、MEXCの手数料が最も低く、次にHyperliquid、BingXという順番になります。
API取引では通常のウェブ・アプリ取引と異なる料金体系が適用される場合があります。
したがって、上の表はあくまで比較のための基準です。実際の取引では、各アカウントに表示される手数料を確認してください。
MakerとTakerの違い
取引所の手数料を理解するために、まずMakerとTakerの違いを確認しましょう。

Makerとは?
Maker(メイカー)は、注文板に新しい注文を並べ、市場に流動性を提供する注文です。
例えば、ビットコインが100,000ドルで取引されているとします。
このとき、99,000ドルに買い指値注文を出し、その注文が板に残った後で約定すれば、通常はMakerとして扱われます。
Makerは市場に流動性を提供するため、多くの取引所でTakerより低い手数料が設定されています。
Takerとは?
Taker(テイカー)は、すでに注文板に並んでいる注文と即座に約定する注文です。
代表的なのが成行注文です。
現在の価格ですぐにビットコインを購入したい場合や、保有しているポジションを速やかに決済したい場合に利用します。
ただし、指値注文でも、発注と同時に既存の注文と約定すればTakerになります。
つまり、指値注文だから必ずMakerになるわけではありません。
100万円のビットコイン先物を取引した場合
ここからは、実際の取引金額で比較してみましょう。
手数料の基本的な計算式は次の通りです。
取引手数料=約定金額 × 手数料率
まず、100万円相当のビットコイン無期限先物を取引した場合です。
| 取引所 | Maker片道 | Taker片道 |
|---|---|---|
| MEXC | 100円 | 400円 |
| Hyperliquid | 150円 | 450円 |
| BingX | 200円 | 500円 |
※前述の参考料率に基づく計算です。円換算の約定金額を100万円と仮定しています。
Makerでは、MEXCとBingXの差は100円です。
Takerでも、MEXCとBingXの差は100円になります。
一度の取引だけなら小さな違いに見えますが、売買回数が増えると手数料の差も積み重なります。
新規注文と決済を合わせた往復手数料
先物取引では、ポジションを建てるときだけでなく、決済するときにも手数料が発生します。
例えば、100万円のポジションをTakerで建て、同じ100万円で決済した場合を考えます。
| 取引所 | 新規注文 | 決済注文 | 往復手数料 |
|---|---|---|---|
| MEXC | 400円 | 400円 | 800円 |
| Hyperliquid | 450円 | 450円 | 900円 |
| BingX | 500円 | 500円 | 1,000円 |
この条件では、MEXCとBingXの往復手数料に200円の差が生まれます。
ただし、実際には決済時の価格によって約定金額が変わるため、往復手数料も変動します。
1,000万円の取引では手数料差が拡大する
次に、取引金額を1,000万円に増やしてみましょう。
| 取引所 | Maker片道 | Taker片道 |
|---|---|---|
| MEXC | 1,000円 | 4,000円 |
| Hyperliquid | 1,500円 | 4,500円 |
| BingX | 2,000円 | 5,000円 |
100万円の取引と比較すると、手数料も10倍になります。
さらに、Takerで新規注文と決済を行った場合の往復手数料は次の通りです。
| 取引所 | Taker往復手数料 |
|---|---|
| MEXC | 8,000円 |
| Hyperliquid | 9,000円 |
| BingX | 10,000円 |
1,000万円のポジションを1回往復するだけで、最大2,000円の差が発生する計算です。
仮に同じ取引を月に10回繰り返せば、単純計算で2万円の差になります。
取引回数が多いトレーダーほど、手数料率の違いが重要になることがわかります。
ただし、実際の取引ではスプレッドやスリッページも発生します。
表示手数料が安くても、注文板が薄く、不利な価格で約定する場合は、結果的に取引コストが高くなることがあります。
MEXCの手数料と特徴

MEXCは、現物取引と無期限先物取引に対応する中央集権型取引所(CEX)です。
今回の参考条件では、無期限先物のMakerが0.01%、Takerが0.04%となっています。
ただし、MEXCでは取引ペアや地域、キャンペーンによって手数料が大きく変わる場合があります。
2026年にはBTC関連先物の手数料改定も複数発表されており、特定の条件でMaker 0%、Taker 0.02%という料率も案内されています。
一方、API取引には別の手数料体系が設定されています。
そのため、MEXCの手数料を比較する場合は、次の3点を確認する必要があります。
- 取引する銘柄と先物の種類
- 自分のアカウントに適用される料率
- ウェブ・アプリ・APIのどの方法で注文するか
私自身は、MEXCではビットコインを証拠金にするコインM先物なども利用しています。
ただし、コインM先物はUSDT建て先物と証拠金や損益の計算方法が異なります。
手数料だけでなく、証拠金の価格変動リスクも理解することが重要です。
Hyperliquidの手数料と特徴

Hyperliquidは、オンチェーンで無期限先物などを取引できる分散型取引プラットフォームです。
基本的な無期限先物手数料は、Maker 0.015%、Taker 0.045%です。
今回の参考比較では、MEXCとBingXの中間に位置しています。
Hyperliquidの特徴は、取引量やHYPEのステーキングによって手数料が変わることです。
14日間の取引量による割引
Hyperliquidでは、過去14日間の取引量をもとに手数料ティアが決まります。
取引量が増えると、Maker・Takerの手数料が低くなる仕組みです。

HYPEステーキングによる割引
Hyperliquidでは、HYPEのステーキング量に応じた手数料割引も用意されています。

ただし、HYPE自体の価格変動リスクがあります。
手数料を節約するためだけに大量のHYPEを購入することが、必ずしも合理的とは限りません。
また、Hyperliquidでは取引所への資産預託の仕組みがCEXと異なる一方、スマートコントラクト、ブリッジ、バリデーター、ウォレット管理などに固有のリスクがあります。
DEXだから必ず安全というわけではありません。
BingXの手数料と特徴

BingXは、現物取引や無期限先物取引などに対応した海外取引所です。
今回の参考条件では、無期限先物のMakerが0.02%、Takerが0.05%です。
3社の中では基本料率が最も高くなっています。
ただし、BingXにもVIP制度や手数料キャンペーンがあります。

取引量やアカウント条件によって、通常より低い料率が適用される場合があります。
また、BingXでは無期限先物と標準先物で料金体系が異なります。
今回比較しているのは、あくまで無期限先物です。
取引方式の違いを確認せずに手数料だけを比較しないよう注意しましょう。
ビットコイン現物取引の手数料も比較
続いて、現物取引の手数料を比較します。
| 取引所 | Maker | Taker | 比較対象 |
|---|---|---|---|
| MEXC | 0% | 0.05% | BTC/USDT |
| Hyperliquid | 0.04% | 0.07% | BTC/USDC |
| BingX | 0.10% | 0.10% | BTC/USDT |
※元記事で使用した基本・標準料率の参考比較です。実際の料率は銘柄、地域、キャンペーン、アカウント条件によって変わります。

この条件では、MEXCの現物取引手数料が最も低くなっています。
例えば、100万円分のビットコインをTakerで購入した場合、単純計算では次のようになります。
| 取引所 | Taker片道手数料 |
|---|---|
| MEXC | 500円 |
| Hyperliquid | 700円 |
| BingX | 1,000円 |
ただし、HyperliquidはBTC/USDC、MEXCとBingXはBTC/USDTという異なる取引ペアでの比較です。
また、現物取引ではスプレッドや注文板の厚さ、入出金コストも考慮する必要があります。
したがって、手数料率だけで現物取引の優劣を判断することはできません。
無期限先物ではFunding Rateも重要
ビットコインの無期限先物を利用する場合、売買手数料だけでなくFunding Rate(資金調達率)も重要です。
Funding Rateは、無期限先物の価格を現物価格に近づけるための仕組みです。
基本的には、Funding Rateがプラスの場合、ロング側が支払い、ショート側が受け取ります。
反対に、Funding Rateがマイナスの場合は、ショート側が支払い、ロング側が受け取ります。

Funding Rateの計算例
例えば、1,000万円相当のポジションを保有しており、1回のFunding Rateがプラス0.01%だったとします。
この場合、受け払いの金額は次の通りです。
1,000万円 × 0.01% = 1,000円
ロング側は約1,000円を支払い、ショート側は約1,000円を受け取る計算です。
仮にこの条件が1日3回続けば、1日あたり約3,000円の受け払いになります。
ただし、Funding Rateは常に一定ではありません。
相場状況によって変動し、プラスとマイナスが入れ替わる場合もあります。
取引所によって精算間隔が異なる
BingXとMEXCでは、一般的に8時間ごとのFunding精算が採用されています。
一方、Hyperliquidでは基本的に1時間ごとの精算です。
ただし、銘柄や市場の仕様によって精算間隔が変わる場合があります。
ここで重要なのは、精算回数が多いからといって、必ず受け取りが多くなるわけではないことです。
比較する場合は、各取引所のFunding Rateを同じ時間単位に換算する必要があります。
例えば、8時間で0.01%と、1時間で0.00125%は、単純計算では同じ時間あたりの料率です。
無期限先物を数週間から数か月保有する場合、わずかな売買手数料の差よりも、Funding Rateの累積額が大きくなる可能性があります。
取引コストは「手数料+Funding+スリッページ」で考える
ここまでの比較でわかるのは、表示されている売買手数料だけでは、本当の取引コストを判断できないということです。
例えば、取引所AのTaker手数料が0.04%、取引所Bが0.05%だったとします。
100万円の取引なら、片道の手数料差は100円です。
しかし、取引所Aの注文板が薄く、約定価格が0.1%不利になった場合、約1,000円相当のスリッページが発生する計算です。

この場合、手数料の安さだけでは取引所Aが有利とはいえません。
さらに、無期限先物を保有する場合はFunding Rateの支払いや受け取りも加わります。
そのため、取引コストは次のように考えるとわかりやすくなります。
実質取引コスト=売買手数料+スプレッド・スリッページ+Funding支払額-Funding受取額+その他の関連費用
短期売買では約定品質と売買手数料、長期保有ではFunding Rateの重要性が高まります。
3つの取引所をどう使い分ける?
私自身は、MEXC・BingX・Hyperliquidを取引目的に応じて使い分けています。
それぞれに異なる特徴があるため、手数料だけで1社に絞る必要はないと考えています。

MEXCが候補になるケース
- 取引したい銘柄がMEXCに上場している
- 適用される売買手数料が低い
- コインM先物などの機能を利用したい
Hyperliquidが候補になるケース
- オンチェーン取引の仕組みを理解して利用したい
- 取引量やHYPEステーキングによる割引を活用したい
- CEXとは異なる取引環境を利用したい
BingXが候補になるケース
- BingXで取り扱う商品や機能を利用したい
- VIP制度やキャンペーンが自身の取引条件に合っている
- 既存の取引環境と操作性の相性がよい
ただし、いずれの取引所でも、利用資格、規制状況、資産保護、清算リスクを確認することが前提です。
複数の取引所を利用すると、資金管理やセキュリティ管理も複雑になるため、分散すれば必ず安全になるわけではありません。
よくある質問
ビットコイン先物の手数料が最も安い取引所は?
今回の参考料率ではMEXCが最も低い結果です。

ただし、MEXCでは地域・銘柄・キャンペーンによる手数料変更があり、HyperliquidやBingXにも割引制度があります。
実際の最安取引所は、自分のアカウントに適用される料率で比較する必要があります。
レバレッジを上げると手数料も増えますか?
手数料は基本的に証拠金ではなく約定金額を基準に計算されます。
そのため、同じ証拠金でレバレッジを上げてポジションを大きくすると、手数料の金額も増えます。
Maker注文なら必ず手数料が安くなりますか?
多くの取引所ではMakerの方が低い料率ですが、約定するまで待つ必要があります。
注文が約定しない場合や、その間に価格が動く場合もあるため、手数料だけで注文方法を決めることはできません。
Funding Rateは毎回受け取れますか?
いいえ。
Funding Rateの符号とポジションの方向によって、支払いになる場合も受け取りになる場合もあります。
また、将来のFunding Rateは保証されていません。
まとめ:最も安い取引所は取引スタイルによって変わる
今回は、MEXC・BingX・Hyperliquidのビットコイン無期限先物と現物取引の手数料を比較しました。
元記事で採用した基本料率では、MEXC、Hyperliquid、BingXの順に売買手数料が低い結果でした。
しかし、実際にはキャンペーンやVIP制度、取引量による割引などがあり、同じ取引所でも適用料率が異なります。
最後に、重要なポイントを3つにまとめます。
① 売買手数料はMakerとTakerで比較する
指値注文でも即座に約定するとTakerになる場合があります。
② 長期保有ではFunding Rateの影響が大きくなる
売買手数料の差だけでなく、保有期間中の資金調達料を確認することが重要です。
③ 手数料だけでなく流動性と取引所リスクも考慮する
スプレッド、スリッページ、取扱商品、資産保護、規制状況まで含めて判断する必要があります。
私自身は、ビットコインの先物取引では高いレバレッジを常用せず、証拠金に余裕を持たせることを重視しています。
取引コストを抑えることは大切ですが、わずかな手数料差を追いかけるために、過大なポジションを持つ必要はありません。
それぞれの取引所の特徴を理解し、自分の取引スタイルに合った環境を選ぶことが重要だと考えています。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の取引所や暗号資産の売買を推奨するものではありません。手数料やサービス条件は変更されるため、必ず最新の公式情報を確認してください。




