価格の変化率からトレンドの速度を計測する指標「ROC」の見方・トレード方法を解説します。
ROCは比較的シンプルな指標なんですが、銘柄の選定やトレンドの速度から売られ過ぎ買われ過ぎを判断したりと、色々な場面で使われています。
ビットコインのように長期トレンドフォローが有効な銘柄でオススメのインジケーターです。
ROC(変化率)とは
ROC(Rate Of Change:変化率)は、モメンタムオシレーターを改良したテクニカル指標です。
現在価格とn日前の価格差を把握するというもので、当日終値とN日前の終値の変化率によって、買われすぎ・売られすぎの相場傾向を判断するというのが基本的な考え方です。
また、一定期間のレンジを測定することにより、トレンド相場の勢いや維持する力を把握できます。
基本的に、0ライン(中心線)を上回れば相場は強く、下回ると相場が弱いと判断します。
ROCの見方
ROCの強弱の分岐点が真ん中の0ラインです。
ゼロライン(中心線)よりも上で推移している場合は、買われている(上昇相場)、下で推移している場合は売られている(下落相場)と判断することができます。
(計算方法によっては、100(%)が分岐点になることもある)
売りサイン(弱)=中心線を下から上に突き抜けた場合
また、0ラインから非常に離れた位置まで伸びて、ROCの方向が転換した場合、トレンド転換のシグナルとなり、押し目買い・戻り売りのポイントとなります。
【買いシグナル】
- ROCが0を下から上抜いた時(上昇トレンド)
- 売られ過ぎ水準から上に反発した時
- チャートが下落トレンドなのに、ROCが上昇傾向の時(ダイバージェンス)
【売りシグナル】
- ROCが0を上から下抜いた時(下落トレンド)
- 買われ過ぎ水準から下に反落した時
- チャートが上昇トレンドなのに、ROCが下落傾向の時(ダイバージェンス)
ROCを使ったトレード
ROCを使ったトレードをBTCUSDチャートを例に説明します。
ROCの特徴として、銘柄ごとに目盛りの間隔がそれぞれ違うことです。
ROC上昇→買われ過ぎ、ROC低下→売られ過ぎというのが基本的な考え方ですが、以下のビットコインチャートの場合、±30~40あたりが天井(天底)になっています。
目盛り30付近からの折り返しを確認して逆張りエントリーした場合に勝率が高く見えますね。
また、ゼロラインの上抜け・下抜けをみてエントリーした場合もそれなりに機能しています。
ただし、大きなトレンドが発生した場合は、オシレーター系指標であるROCにはダマシが発生しいやすいともいわれているのでトレンド相場は注意が必要です。
ROCのダイバージェンス
ROCはトレンド相場に弱いですが、例外的に機能する局面があります。それが相場とROCが逆の動きを示すダイバージェンス(逆行現象)です。
価格チャートが値上がりを続けているが、ROCのラインは切り下げている。逆に、相場が値下がりしているがROCが切り上げている、という以下のようなダイバージェンスが発生した時は、トレンドの反転を暗示している可能性があるので期待度の高いエントリーチャンスとなります。
ダイバージェンスはオシレーター系テクニカル指標に広く見られる現象でROCでも例外ではありません。
ROCの表示方法(TradingView)
TradingViewでROCの表示例をご紹介します。
「インジケーター&ストラテジー」アイコンの検索窓で「ROC」と入力するとすぐ見つかります。
日数(計算式のnに相当する部分)については9・12・25などが比較的使用頻度が高いが、長期の100や200期間などもある。TradingViewの初期値は9に設定してありました。インジ名横の×アイコンをクリックすると削除できます。
基本的に使用しているトレンド指標があればそのパラメーター値と同じにすると相性がいいでしょう。
ROC銘柄選定スクリーニング方法
これはTradingViewの隠れた便利機能「スクリーニング」を使います。
全銘柄の中から買われ過ぎ・売られ過ぎの最も過熱した銘柄を探すことができます。
TradingViewのアカウント情報・トップページなどに「スクリーナー」があります。ここでは仮想通貨スクリーナーを使います。
右端にあるアイコンをクリックし、「カラムを検索」というところにROCと打ちます。
そしてROCの項目をクリックすると、ROCが最も過熱している銘柄を見つけることができます。チャートや出来高も見てエントリーできそうな銘柄があれば売買チャンスを伺います。売られ過ぎ・買われ過ぎの銘柄なので通常逆張りします。
ROCを使う注意点
レンジ相場でのみ機能する
相場にはトレンド相場とレンジ相場(持ち合い)がありますが、ROCはモメンタム系のオシレーター指標なので、レンジ相場で有効に機能します。
一方、トレンド相場では間違ったサインを出しやすいです。
表示期間や銘柄で目盛り間隔も異なる
ROCの特徴として、表示する期間や銘柄の違いで値動きの幅が異なれば、目盛りの間隔も異なってきます。
また、月足など長期間を見る場合、初期と後期で相場の水準が大きく異なっている場合には、一概に正確な数値になるとは限りません。
売買ポイントが分かりづらい
ROCは明確な売買シグナルとして機能するように作られてはいません。
トレードのエントリーポイントが分かりづらくダマシもそこそこあるので、その時の相場観・トレンドの強弱を判断するために補助的に使用するのに適しています。
他のトレンド系指標と併用するなどして、複数の買いシグナルや売りシグナルを売買根拠にトレードするといいと思います。
移動平均線 | ボリンジャーバンド | フィボナッチ |
ウィリアムズアリゲーター | ドンチャンチャネル | 一目均衡表/一目雲 |
エリオット波動 | パラボリックSAR | ケルトナーチャネル |
EMA | WMA | ギャン理論・ツール |
エンベロープ | GMMA(複合型移動平均線) | ピボットポイント |
リスクリワード・レシオ |
ROCのまとめ
ROC(変化率)を使ったFXトレード手法を解説しました。
ROCは以下のように売買シグナルを判断します。
【買いシグナル】
- ROCが0を下から上抜いた時(上昇トレンド)
- 売られ過ぎ水準から上に反発した時
- チャートが下落トレンドなのに、ROCが上昇傾向の時(ダイバージェンス)
【売りシグナル】
- ROCが0を上から下抜いた時(下落トレンド)
- 買われ過ぎ水準から下に反落した時
- チャートが上昇トレンドなのに、ROCが下落傾向の時(ダイバージェンス)
しかし、単独での使用は売買シグナルとしての精度は高くないため、他のトレンド系指標と併用することで力を発揮します。
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