SMA(単純移動平均線)とともに2大移動平均線とも言われる、EMA(指数平滑移動平均線)の見方と使い方についてご紹介します。
移動平均線の中でも最もバランスがよく使いやすいと言われており、上級者にも愛用されているトレンド系指標の優等生です。
SMAが改良され生まれたのがEMAです。
また、テクニカル指標にDEMA(2重指数移動平均), TEMA(3重指数移動平均)というのもあるのでその違いと使い分け方についても解説します。
この記事を読めば、上級者も使い倒しているEMAを完全にマスターできます。
EMA(指数平滑移動平均線)とは
EMA(Exponential Moving Average)=指数平滑移動平均線(エマと呼んでいる人も)とは、SMA(単純移動平均線)を元に、より直近の値動きに反応するのが特徴です。
なぜ直近の価格を重視しているのかと言うと、
という考え方が元となっているからです。
つまり、SMA(単純移動平均線)よりも売買サインを早く確認できることを得意としているのが、このEMA(指数平滑移動平均線)です。
同じ移動平均線でも、日本ではSMA(単純移動平均線)の方が人気で欧米ではEMAやたまにWMAの方がよく利用されていたりします。
また近年では、EMA(指数平滑移動平均線)がベースである12本の移動平均線を表示させるGMMAも人気があります。
SMA(単純移動平均線)は全てのデータを平等に扱い平均値を計算しますが、EMA(指数平滑移動平均線)では、直近の値動きを重視し、過去の値動きを若干軽視した算出方法になっています。
公式の計算式は複雑なのですが、簡単に書くと以下のようになります。
(例:3日間移動平均線)
EMAはSMAのデメリットを補う
SMA(単純移動平均線)は、長期的なトレンドの方向性を見るのに向いているが、直近の値動きによる売買サインが遅れがち。
EMA(指数平滑移動平均線)は、SMAよりも直近の値動きに早く反応するが、大きなトレンドやレンジ相場ではダマシが多い。
つまり、全体的なトレンドを把握して行うトレードではSMAの方が向いており、スキャルピングやデイトレードなど短期売買を行うトレード手法の場合はEMAが向いている、という風に使い分けることができます。
使い分ける場合には、短期線にEMA・長期線にSMAを表示することが多いです。(後述)
指数移動平均(EMA)の使い方
SMAもEMAもどの移動平均線も使い方は共通で、短期線・中期線・長期線の位置関係を見て、トレンドの方向性や転換点を見極めていきます。
ただ、EMAは長期より短期で売買の方が得意であることは覚えておきましょう。
基本的には移動平均線の使い方は共通しているので以下の戦略は他の移動平均線でも使えます。重要なのは、どの移動平均線が今のチャートに効いているかというところです。
一本のEMAを使ったトレード方法
価格が移動平均線から大きく離れると、再び移動平均線の近くに戻ってくる傾向があります。
・価格が移動平均線と離れ過ぎた場合、逆張り指標となる。
二本のEMA:ゴールデンクロスとデッドクロス
売買サインは、ゴールデンクロスとデッドクロスがあります。
反対に、短期の移動平均線が、長期の移動平均線を下抜ける→デッドクロス(売りサイン)
サポートラインとレジスタンスライン
サポートライン(支持線)とは「この価格以下にはさせないぞ」というチャート上で価格が買い支えられ易いポイントとなるラインです。
一方、レジスタンスライン(抵抗線)は「この価格以上にはさせないぞ」というチャート上の売られやすいポイントとなるラインのことです。
サポートやレジスタンス辺りに指値注文を仕掛けて売買エントリーポイントにしておくと上手く機能することが多いですね。
ビットコインFXでは特に長期の200日移動平均線がサポートとして機能することで知られています。
指数移動平均線(EMA)の表示/設定方法
bybitのTradingViewチャートツールでEMAを表示してみます。
チャートツール「インジケーター」→入力欄に「ema」と記入→表示させたいインジを選ぶ。
「指数移動平均」を選ぶとEMAが表示されます。
EMAを3本表示させたいのなら、同じ操作を3回繰り返して表示します。
指数移動平均線(EMA)の調整方法
設定数値を変更するには、インジ名「EMA」→「フォーマット」から変更できます。デフォルトは9になってますが14とかもよく使われています。
14、25、100、長期で200とかを同時表示することが多いように思います。
二本のEMAを表示したいなら「Cross EMA」を使うといいです。(下で説明)
「2重EMA/トリプルEMA」とは?
次項に詳細を書きましたが、EMAより更に直近価格を重視した機敏に動く移動平均線です。
「EMA Cross」とは?
「EMA Cross」はEMAを短期戦と長期線の2本表示できるインジです。クロスが起きているところはバッテンマークがついていて分かりやすいです。「フォーマット」から二本のEMAの設定ができます。
「MA with EMA Cross」とは?
これはMA(SMA)とEMAを一本づつ、合計二本引けるインジケータです。交差が起きているところはバッテンマークがつきます。「MA/EMA Cross」→「フォーマット」からMAとEMAの期間をすることができます。
EMAとSMAを組み合わせる場合は、短期EMAと長期SMAで組み合わせるのがコツです。
EMAを削除するには
以下のようにインジ名→削除をクリックします。
ダブルEMA(DEMA)・トリプルEMA(TEMA)とは
TradingView(BitMEX)で使うことができるインジケーターに、2重指数移動平均(DEMA)、3重指数移動平均(TEMA)というものがあるので違いを解説します。
二重指数移動平均 (DEMA)
二重指数移動平均 (DEMA:Double Exponential Moving Average) は、EMAよりも直近の値動きに敏感に反応する平滑移動平均線です。
DEMAは、EMAよりも更に直近価格を重視しているので価格追従性能が高くなっています。
指数移動平均の指数移動平均も計算することで、より直近の値動きに反映させたものです。
(2倍のEMAからMAを2回とった値を引いたもの)
三重指数移動平均線(Triple Exponential Moving Average:TEMA)
三重指数移動平均(TEMA:Triple Exponential Moving Average)は、EMAよりも、DEMAよりも更に反応が早いというのが特徴の平滑移動平均線です。
計算方法は DEMAと似ていますが、DEMAよりさらに直近の値動きを反映させており、その分計算も複雑になってますが気にしないでいいです。
(3倍のEMAからEMAを3回とった値を引いたもの)
反応が早い分逆張りに使えそうな感じもしますが、実際そうでないことも多いので安易に逆張り指標として使うのはおすすめできません。
感度が高い分ダマシも多くなっているので使いどころは限定されるでしょう。
EMA、DEMA、TEMAの違いと使い分けについて
EMAに比べて、DEMA、TEMAと価格への追従性が高くなっています。
つまり移動平均でありがちな遅延が少なくなっています。
ただし、ノイズは増えているような気がします。騙しもその分多くなります。
単一、2重、3重の指数移動平均を一緒に表示することで、それぞれ個別で使用するよりもラグが小さくなるという使い方もあるようです。
また、TEMAを従来の移動平均の代わりに利用する人もいるようです。
より短期売買(スキャルピング)に特化した設定にカスタマイズする利用方法が有効です。
指数移動平均(EMA)の注意点
EMAはSMAよりも直近のレートを重視しているので、早く反応するのがメリットですが、その分ダマシも多く発生してしまいます。
また、レンジ相場となると反応の早さが仇となり、誤った売買サインを掴んでしまうこともあります。
EMAを使うなら、SMAと併用して違いを見たり、EMAは短期線・中期線・長期線それぞれ表示させて、短期的な値動きのダマシに引っかかりにくいトレードを心がける必要があります。
まとめ
EMA(指数平滑移動平均)の使い方をビットコインFXで解説してみましたがいかがでしたか?
BitMEX(TradingView)の移動平均線の設定方法は少しわかりにくいので当記事が参考になれば幸いです。
またDEMA(二重指数移動平均)・TEMA(三重指数移動平均)についてもまとめてみました。
他にも数種類の移動平均線があるので、興味があれば違いを見てみてください。
多くのトレーダーが意識するポイントは、移動平均線でも実際にチャートで意識されシグナルが出ているものです。
そういった価格帯での動きに注目して期待値の高いトレードをしてください。
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