今回は海外ビットコインFX取引所でよく採用されているレバレッジ設定であるクロスマージンと分離マージンをBybit(バイビット)を例に分かりやすく解説します。
ビットコインFXでの正しいレバレッジ設定方法を知れば、実はロスカットは怖くなくなります。
FXトレードにおいて何よりも大事なのは、ロスカットに関わるレバレッジ管理・リスク管理です。
海外取引所のレバレッジ、クロスマージン・分離マージンを使いこなせばトレードの幅が広がり、驚くほど負けにくくなります。
BybitやBitMEXのような海外ハイレバ取引所は追証こそありませんが、クロスマージンのままトレードするとロスカットが起たとき口座残高がほぼ0になります。(ゼロカットシステム)
クロスマージン(cross margin)と分離マージン(isolated margin)を駆使してレバレッジ管理をすれば、むしろロスカットを味方につけることさえ出来ます。
Bybitのレバレッジを後から・途中から変更する方法、アルトコインFXとの相違、レバレッジを駆使した戦い方を伝授しますのでよく読んで理解してくださいませ。
関連記事 Bybit(バイビット)の登録方法はこちらでまとめています。
レバレッジ管理はビットコインFXで最も大切
レバレッジ(てこの原理)とは、固い棒状のもので大きなものを少ない力で動かすことが出来る原理のことですが、金融での意味は少ない力(証拠金)で大きなエネルギー(取引)を生み出すという考え方です。
レバレッジを掛けた取引は、実際の証拠金の額よりも大きな値のビットコインをトレードできる分、損失額が証拠金の金額に達した時、強制決済(ロスカット)が執行され、損失を確定されてしまいます。
ビットコインFXはゼロサムゲーム(勝った人の資金と負けた人の資金は同数)なので、ロスカットされてなくなった証拠金は誰かの勝ち分であるということです。
なので、ロスカットは十分に回避できるものであるし、ロスカットされたのはレバレッジ管理が甘かったことに起因しています。
BitMEXやBybitではレバレッジが1~100倍まで自分で設定できますが、レバレッジ管理の概念を持っていないとおそらくトレード勝率はかなり低くなります。(最後にはロスカットで証拠金が0になってしまうので)
ハイレバ海外取引所のビットコインFXにおいて、損小利大で堅実なトレードをするためのカギとなるのが、レバレッジ調節機能です。
レバレッジは盾にも矛にもなるのです。その理由を以下で解説していきます。
Bybitのレバレッジは100倍まで可能だけれど
BybitやBitMEXのレバレッジは最大100倍まで可能ということで、日本国内のビットコインFX取引所(日本で最高倍率は4倍規制)は相手にならないくらい高倍率のトレードをすることができます。
しかし、目一杯の証拠金を使って100倍の最大レバレッジでビットコインFXトレードをすると、高い確率でロスカットが執行され証拠金が0になってしまうでしょう。
理由は、ロスカットライン(清算価格)がエントリーした価格(参入価格)に極めて近いところにあるからです。
おそらく、50ドル幅も逆方向に動けばロスカットでしょう。
そのくらい100倍レバレッジというのはシビアです。
その分、勝った時には利益が何倍にもなるので楽しいんですけど、それはもはやギャンブルです。
実はこの100倍レバレッジ、考え方を変えると最強の盾にもなります。
ビットコインFXトレードで稼ぎたいのなら、レバレッジを味方に付けましょう。
Bybitにはクロスマージンと分離マージンがある
BybitやBitMEXには、クロスマージン(cross margin)と分離マージン(isolated margin)という二つの性質が異なるレバレッジモードが備わっており、初期設定(デフォルト)ではクロスマージンになっています。
以下にクロスマージンと分離マージンの違いを列挙します。
クロスマージン | 分離マージン |
---|---|
リスク大 | リスク小 |
わかりやすい | わかりにくい |
一般的なレバレッジ機能 | 損失を限定できるレバレッジ機能 |
100倍のみ | 1~100倍まで手動調節が可能 |
残高を全てポジション維持の証拠金に使う | ポジション維持に使う証拠金は指定したレバレッジによって制限される |
ロスカット→残高0(ゼロカット) | ロスカット→ポジション維持に使われた証拠金のみ消失し、残高残る |
表の内容がわからない方にも理解できるように後ほど説明します。
Bybitのレバレッジをクロス⇔分離マージンに変更する方法
BybitやBitMEXのレバレッジを使いこなす基本操作である、レバレッジの変更方法を説明します。
とても簡単なのでサクッといきましょう。
Bybitのレバレッジ設定方法
Bybitのレバレッジ変更画面は、オーダー発注画面のすぐ上にあります。(画像ではクロスマージンに設定されています)
クロスマージンと分離マージン倍率をスライドバーで選択することが出来、分離マージンは細かく1~100までの数字を手入力で指定することも出来ます。
BitMEXのレバレッジ設定方法
BitMEXのレバレッジはトレード画面サイドメニューのこの部分で変更することができます。
BitMEXのクロスマージンとは、初めから設定されているデフォルトの設定です。分離マージンに変更する方法はこのバーを動かすだけです。設定した倍率数に合わせましょう。
また、バーの横のこのアイコンをクリックすると現れる入力欄に数字を直接入力すればもっと細かい倍率にも設定できます。
約定後や途中もレバレッジ変更できるが条件付き
オーダーを出した後に、レバレッジを変更する方法はバーを動かすだけで可能です。
分離マージンの場合、証拠金量を調節する方法もあります。
BitMEXでは「オープンポジション」の「ポジション証拠金を追加/削除」から証拠金として使うXBT量を調整できます。
便利なのでどんどん使っていきましょう。
クロスマージン(cross margin)の特徴と考え方
クロスマージンは口座にあるビットコインを全てトレードの証拠金に使うというもので、レバレッジが全開放されている状態です。
このクロスマージンだからといってリスク管理ができないというわけではなく、
例えば一万円分のBTCが口座にあるのなら、ビットコインFXトレードする取引額も一万円分に収まるように管理すればレバレッジは実質一倍になりますから、分離マージンを使わないでクロスマージンだけでトレードする人も多いと思います。
クロスマージンのレバレッジ1倍シュミレーション
これはBitMEXやBybitについている損益計算ツールを使ってクロスマージンでレバレッジ一倍(1BTC=6000ドルのとき6000ドルのロングポジション)の取引をシュミレーションして入力してみたときのロスカット価格です。
クロスマージンでも、レバレッジ1倍の取引をすれば清算価格は3011ドルということになり、BTC半値近くまでロスカットされず耐えることが出来るというセーフティなトレードをすることができます。
分離マージン(isolated margin)の特徴と使いどころ
クロスマージンのままだと、口座残高が0になるまで証拠金をポジション維持に使うことになります。
対して分離マージンとは、その名前からも推測できる通り、口座残高=証拠金というのを分離して、オーダーを出して約定したポジションの維持に使われる証拠金だけに損失を限定したものです。
つまり、分離マージンに設定しておけば、ロスカットが起きても口座残高の資金がある程度残るようにリスク管理できることになります。
ロスカットが起きたときの口座残高は、分離レバレッジ100倍だと保有ポジションの100分の一の損失で済むということです。
逆に分離レバレッジ一倍の場合はロスカットラインは遠いですが、万が一仮にロスカットされたときの口座残高は一分の一がなくなります、つまり、保有ポジションとほぼ同数の損失となります。
以下の一覧表は※1BTC=6000$時にポジション6000ドルを保有している場合で計算されています。
分離レバ | 許容値幅 | 清算価格 | 許容損失 |
---|---|---|---|
100倍 | 0.5% | 5971$ | 0.0048BTC |
50倍 | 1.5% | 5912$ | 0.0148BTC |
25倍 | 3.4% | 5798$ | 0.0348BTC |
10倍 | 8.7% | 5480.5$ | 0.0948BTC |
5倍 | 16% | 5021.5$ | 0.1948BTC |
3倍 | 25% | 4517.5$ | 0.3281BTC |
2倍 | 33% | 4014$ | 0.4947BTC |
1倍 | 50% | 3008$ | 0.9946BTC |
(1BTC=6000$)
言葉で説明しても分かりにくいと思うので、以下に損益計算ツールを使ったシュミレーションを例に説明していきます。
分離マージンレバレッジ100倍に変更した場合の例
証拠金に対して100倍までのポジションを持つことが出来ます。
レバレッジ100倍を分離マージンで見てみましょう。
仮に証拠金6000ドル、ポジション6000ドルを持つ場合のシュミレーションです。(1BTC=6000ドル想定)
6000ドルでエントリーした場合、清算価格は5971ドルとなっています。
これは口座残高がどれだけ多くても、この価格でロスカットされるということを意味しています。
損失は0.0048BTCに限定されることになります。
すぐにロスカットされますが、その分口座残高の損失を抑えることが出来ます。
分離マージンレバレッジ50倍に変更した場合の例
証拠金に対して50倍までのポジションを持つことが出来ます。
レバレッジ50倍を分離マージンで見てみましょう。
清算価格は5912ドルとなっています。
この場合、損失は0.0148BTCに限定されます。
分離マージンレバレッジ25倍に変更した場合の例
証拠金に対して25倍までのポジションを持つことが出来ます。
レバレッジ25倍を分離マージンで見てみましょう。
清算価格は5798ドルとなっています。
この場合、損失は0.0348BTCに限定されています。
分離マージン・レバレッジ25・50・100倍の戦略
例えば、分離マージン50倍のときの必要証拠金維持率は5000%となります。
もっとわかりやすく言うと、少しでも意図と逆方向に動いたらロスカットされるので、損失を最小限に留めることができます。
損切りをすぐに行いたい場合に利用価値があります。
ストップロスオーダー(予想に反して相場が突然暴落してしまった場合に備えて、損失を限定するために行うオーダーのことで「逆指値注文」や「ストップ注文」とも呼ばれる)のような使い方がオススメです。
分離マージンレバレッジ10倍に変更した場合の例
証拠金に対して10倍までのポジションを持つことが出来ます。(1BTC=6000ドル想定)
レバレッジ10倍を分離マージンで見てみましょう。
清算価格は5480.5ドルとなっています。
この場合、損失は0.0948BTCに限定されることになります。
分離マージンレバレッジ5倍に変更した場合の例
証拠金に対して5倍までのポジションを持つことが出来ます。
レバレッジ5倍を分離マージンで見てみましょう。
清算価格は5021.5ドルとなっています。
この場合、損失は0.1948BTCに限定されることになります。
分離マージン・レバレッジ5・10倍の戦略
分離マージン・レバレッジ25倍以上よりもロスカットまでの値幅に余裕があるので、ある程度意図しない方向に値幅が動いてもレジスタンスで反発してくれることを期待している場合などに便利です。
25・50・100倍よりも損失を許容できる場合に設定しましょう。
分離マージンレバレッジ3倍に変更した場合の例
証拠金に対して3倍までのポジションを持つことが出来ます。(1BTC=6000ドル想定)
レバレッジ3倍を分離マージンで見てみましょう。
清算価格は4517.5ドルとなっています。
この場合、損失は0.3281BTCに限定されることになります。
分離マージンレバレッジ2倍に変更した場合の例
証拠金に対して2倍までのポジションを持つことが出来ます。
レバレッジ2倍を分離マージンで見てみましょう。
清算価格は4014ドルとなっています。
この場合、損失は0.4947BTCに限定されることになります。
保持していたポジションの半分の損失でロスカットされるので、保持したオーダーボリュームの半分まで損失を許容できるのがレバレッジ2倍の分離マージンだと覚えておきましょう。
分離マージンレバレッジ1倍に変更した場合の例
証拠金に対して1倍までのポジションを持つことが出来ます。
レバレッジ1倍を分離マージンで見てみましょう。
清算価格は3008ドルとなっています。
この場合、損失は0.9946BTCに限定されることになります。つまり口座残高とほぼ同額のポジションをもっていたとしたら口座残高はほぼ全てなくなります。
分離マージンでレバレッジ1倍というのは、ある意味クロスマージンと似ているようですが違います。証拠金分のポジションしか持つことができず、しかし保持していたオーダーボリュームの分だけの損失に限定されるという点を覚えておきましょう。
分離マージン・レバレッジ1・2・3倍の戦略
ここまでの低レバレッジの分離マージン設定だと、ほとんどクロスマージンと変わらない設定になります。
大きな違いは証拠金以上の大きなポジションをもつことが出来ないという点です。
クロスマージンでロスカットが起きたときよりも、口座に残るBTCが多いかなといった感じでしょう。
低レバレッジ取引でいいから、ロスカットで失う証拠金を(持ったポジション数量内に)限定しておきたいという時に使えそうです。
これでだいたい分離マージンの使い方が掴めてきたのではないでしょうか?
BybitアルトコインFXのレバレッジで異なる点
BybitにあるアルトコインFXは、以下のように銘柄ごとに少々異なります。
基本的なレバレッジ周りの考え方は同じですが倍率が違うことに注意してください。
ビットコイン(BTC) | 最大100倍 |
---|---|
イーサリアム(ETH) | 最大50倍 |
ライトコイン(LTC) | 最大50倍 |
リップル(XRP) | 最大50倍 |
EOSトークン | 最大50倍 |
BybitのアルトコインFXはビットコインFXと比べ、手数料は同じですが証拠金に使う通貨をそれぞれ用意しなければいけませんし、板の厚さなども薄いので、注意が必要です。
ビットコインFXのレバレッジ設定まとめ
BitMEXのレバレッジ変更方法、クロスマージンと分離マージンの使い方をテーマに記事を書いてみました。
クロスマージンはわかりやすいですが、分離マージン倍率と証拠金には以下のような関係があることが理解出来ましたね。
以下の一覧表は※1BTC=6000$時にポジション6000ドルを保有している場合で計算されています。
分離レバ | 許容値幅 | 清算価格 | 許容損失 |
---|---|---|---|
100倍 | 0.5% | 5971$ | 0.0048BTC |
50倍 | 1.5% | 5912$ | 0.0148BTC |
25倍 | 3.4% | 5798$ | 0.0348BTC |
10倍 | 8.7% | 5480.5$ | 0.0948BTC |
5倍 | 16% | 5021.5$ | 0.1948BTC |
3倍 | 25% | 4517.5$ | 0.3281BTC |
2倍 | 33% | 4014$ | 0.4947BTC |
1倍 | 50% | 3008$ | 0.9946BTC |
(1BTC=6000$)
分離マージンの倍率の設定でこんなにもトレードの仕方が変わってくるんだね。
レバレッジを味方につけてロスカットを戦略的に使うことが出来れば、勝率大幅アップ間違いなしですじゃ。
証拠金管理をしっかりして安全なリスク範囲で、Bybitをはじめ海外取引所のビットコインFXトレードを楽しんでください。
コメント欄
クロスマージンと分離レバとの違い、よく書かれていると思いますが、自分の頭ではよくわかりませんでした。自分はクロスでやってますが、レバ2倍から3倍くらいで、清算価格も注意してるので、大丈夫と思てたのですが、3か月くらい前に誤発注から1日で400万清算されてしまいました。ふだんの注文は2000ドルで細かく指値を入れるのですが、その時は間違ってレバ40倍くらいの注文が出ていました。自分では気づかなかったのですが、スマホで注文するときに、数量の下にあるコストのバーを間違って押してしまったようです。ビットコインとイーサリアムに400万づついれてましたが、イーサの400万が全額清算されていて、目が点になりました。もう一度文書を読み直して理解したいと思います。
誤発注は気を付けすぎるくらい気を付けないといけません。
確認画面を表示するようにするとか、同じミスをしないように対策しましょう。
クロスと分離マージンの違いを少額の発注と清算価格をみて理解してみてください。
bybitの場合、利益確定直前でレバレッジ変更かけたら、そのレバレッジで決済されるのでしょうか? そうだとしたら単純に1倍で入って利益確定直前に20倍とかにすればいいと考えています。
試したことないですが、含み益ポジションのレバレッジ変更は問題なくできると思います。含み損の場合は制限されるでしょうね。
かなり詳しいようで助かります
仮に証拠金6000ドル、ポジション6000ドルを持つ場合のシュミレーションです
このポジション6000ドルとはどういう意味ですか?
>言葉で説明しても分かりにくいと思うので、以下に損益計算ツールを使ったシュミレーションを例に説明していきます。
ここ全て 数量6000になってます
何の数量でしょうか?
ここでいう6,000ドルのポジションというのは、6000ドル分のBTCのロング/ショートポジションのことです。