海外BTCデリバティブ(ビットコインFX)取引所の中には、法定通貨(ドル、円)を保有できないところがあります。
そのような取引所では基本的にアカウント口座に保持できる資産(証拠金)はビットコインのみとなっています。
つまり、ビットコイン価格が下落していく相場では何もしなくても資産が減っていくということになってしまいます。
こういうことですね。
日本円や米ドルなどのフィアット(法定通貨)に換金してノーポジションにしておきたい場面で、
そうすることができないというのは悔しい。
日本のビットコインFX業者と海外取引所を比べてデメリットで挙げられることもありますね。

ところがこれは実は簡単に解決できるんじゃ。
法定通貨を持っている状態を疑似的に作ることで価格変動リスクはほぼ0になるのです。
実は、ビットコインのみしか保有していなくても法定通貨(ドル)を保持していることとほぼ同じ状況を作ることが出来ます。
これを投資用語で「デルタ・ニュートラル・ヘッジ」と言います。(かっこいいよね)
さらに、このデルタニュートラルを長期間行うと、資金調達金利分が儲かる可能性が高く、必勝法(聖杯)に近いものとなります。
今回はその方法と、なぜそうなるのか?というのを分かりやすく説明していきます。
BTCだけでは普通ノーポジションにできない
BitMEX等法定通貨を扱っていない取引所ではBTC現物しか口座に送金することができないので、基本的にBTCしか保持することができません。
BitMEXで何もしていないとき、ビットコインが口座にあるということですね。
日本円や米ドルなどのフィアット(法定通貨)に変えるには、他の仮想通貨取引所に送金する必要があります。
仮想通貨市場が暴落しているときには資産が減っていくのでつらいですよね。
しかし!
BitMEX内で、ビットコインを法定通貨に変えることができた場合に起きることと、全く同じことが実現できます。
完全ノーポジは1倍ヘッジショートするだけ
やり方はとても簡単で、トレードスキルがなくてもできます。
トレード用口座で保有しているビットコイン(BTC)と同じ量だけショートポジションを持つだけです。
つまり、例えば口座に1BTCがあるのなら、1BTC(に相当する米ドル価格)の売りポジションを持つのです。
1BTC=30,000ドルの価格時、口座残高に1BTCがあるという場合、30,000ドルのショートポジションを持てばいいのです。
0.01BTCでも、100BTCでも方法はかわりません。
2BTC持っているなら60,000ドル、3BTC持っているなら90,000ドルのショートポジションを持つということです(IBTC=30,000ドルの場合)。
ただ、50BTCとかあまり大きな数量になってくるとオーダーを指値注文で捌くのに苦労するかもしれません。オーダーブックの出来高によって注文ペースを調整する必要が出てきます。
BTC建て1倍ショートで利益が出ても円建て換算するとほぼノーポジションと同じとなります。
※USDT建てではできません、注意しましょう。

これをデルタ・ニュートラル・ヘッジと言います。
無期限契約でデルニューを組むと金利で儲かる
デルタニュートラル(デルニュー)戦略をとると、BTC建ての法定通貨に対してノーポジションを作ることができることはお伝えしましたが、この戦略には続きがあります。
海外のデリバティブ(ビットコインFX)ができる取引所では、ほぼすべての取引所で資金調達率(Funding rate)というスワップ手数料が発生する無期限契約(Perpetual Swap Contract)があります。
デルタニュートラルのヘッジショートをこの無期限契約で行と資金調達率の仕組み上、高確率で金利受け取り側のポジションとなり儲けることができるのです。
資金調達率の仕組み
多くの海外取引所に導入されているFunding rateは、凪相場のようなニュートラルな状態では設計上0.01%となります。0.01%が基本位置ということです。
多くの取引所で資金調達率は一日に3回(8時間ごと)発生するので、0.03%/日平均で、ロングポジション保有者からショートポジション保有者へ保有ポジション量に応じた金利分の支払いが毎日起きることになります。
ロング側 | ショート側 | |
---|---|---|
資金調達率が+ | 支払う | 貰える |
資金調達率が- | 貰える | 支払う |
ビットコイン無期限契約の出来高上位取引所の、資金調達間隔と証拠金通貨の違いや取引所毎の特徴については以下の記事で解説しています。
Bybit資金調達金利の報酬確認方法
金利が一日にどれだけもらえたか(また徴収されたか)調べるには、Bybitの資産ページから「デリバティブアカウント」→「履歴」→「その他」の項目から確認できます。(日次のみ)
デルタ・ニュートラルという呼び名ついて
デルタ・ニュートラル(Delta Neutral)そのものの意味について知っておくと理解がはかどるので簡単に紹介します。
デルタ・ニュートラル・ヘッジとは主にオプショントレードで使われる専門用語です。
デルタは、数学で、変数または関数の変量を表す記号。
ニュートラルは中立、中間を表します。
保有しているポジションの価格変動リスクを回避するために先物取引(デリバティブ)を使って同数ショート(売り)する方法を指します。
売買ポジション全体の損益をゼロに近づけることで、原資産の価格変動(デルタ)に対して中立的(ニュートラル)な損益ポジションを生み出すことが目標とされます。

保有ポジションの損失と利益が同じ値幅であれば、全体の損益は相殺されてデルタ(変量)はニュートラルになるということです。
BTC1倍ヘッジショートがロスカットになる心配は?
ビットコインFX取引所でショート一倍って、仮に暴騰(もしくは暴落)したときに、ロスカットになる心配はないの?
という疑問が沸くと思います。
これはBitMEXやBybitで標準で使える損益計算ツールでシュミレートすることができます。
ショート一倍でBTC価格が半分になった場合のシミュレーションをしてみました。
ちょうどビットコインの価格が半分になったとき、資産は2BTCとなり、プラマイゼロになることがわかります。
ロスカットライン(清算価格)がいくらになるのか調べてみました。
シュミレーションによると、BTC建てヘッジショート一倍がロスカットされるのは、
1BTC=1,190,476ドル
になった時、約100倍以上に価格が短期間で暴騰した場合…
ってそんなことあり得ないでしょうね。
半減期を考慮した4年周期の長期トレンドを意識してデルタニュートラルポジションを組めばほぼロスカットはありえないと思います。
デルニュー戦略を加速させる禁じ手もある
デルタニュートラルはレバレッジ一倍のBTC建てショートということはお伝えしましたが、もっとたくさん資金調達率の金利が欲しいんや!という欲張りな人に役に立つのがビットコイン先物です。
日本人も登録できるBybitやFTX、Binanceでは、ビットコインFX(BTCUSD無期限契約)のほかにビットコイン先物契約があります。
ビットコイン先物は資金調達率(Funding手数料)がかからないという大きな特徴があります。
また、満期日(決済期日)があるので、↑の画像では6月29日・9月28日に強制的に成行決済されるのでそれまでに手じまいする必要があります。
つまりビットコイン先物ではどれだけ長くポジションを保持していても、満期日に達さない限りはスワップ金利のようなものは発生しないのです。
レバレッジ一倍でエアフィアットに退避(デルタニュートラル)する作戦では、より多くのショートポジションを持つために先物でロングポジションを持つ、なんちゃって両建て戦略がスワップ金利生活に相性いいかもしれませんね。※低レバレッジ厳守です。
ヘッジショートするときの取引手数料に注意
成行注文時に発生するテイカー手数料に注意しましょう。
テイカー手数料は、保有するポジション量に対して、0.075%の手数料が課されます。
この手数料は結構高いので、可能な限り指値注文でオーダーを約定するようにし、メイカー手数料(マイナス0.025%)を得ましょう。
また、数十BTC以上の大きなポジションになってくると、オーダーブックの流動性から注文をさばきにくくなります。大きなロットを約定させるためには、時間をかけて注文を出すか、アイスバーグ注文などを使うといいかもしれません。
関連記事 BitMEXと同じBybit(バイビット)取引所の取引手数料について
デルタニュートラル戦略のまとめ
海外BTC取引所でフィアット退避|レバ1倍ヘッジショート(空売り)がデルタニュートラルヘッジになる理由という内容で記事を描いてみましたがいかがでしたか?
本来は、一部の海外ビットコインFX取引所でBTCから法定通貨に退避することができない点は、日本の取引所と比べてデメリットだとして語られることがありました。
しかし、今回のレバレッジ一倍のショートを掛けることで、法定通貨に変えることとほぼ同じ状況にできる技を知っておけば、全く問題ないということがわかりますよね。
- 海外ビットコインFX取引所で資産を守るにはレバレッジ一倍でショート
- ロスカットは現実的に起こらない
- Funding手数料が発生しないビットコイン先物も使う
- 成行注文より出来るだけ指値注文を使う
ということがお分かりいただけたかと思います。
ローリスクで負けないトレードを積み重ねることがビットコインFXで重要なことです。
是非、この戦略をトレードに生かしてくださいね。
ビットコイン先物(futures)が取引できるOKEXとFTXの登録がまだの方は是非この機会にアカウント開設してみてください。
また、今後BybitでもFuturesが使えるようになるので併せて使い方をチェックしておきましょう。



関連記事 Bybit(バイビット)の評判と口コミを徹底調査してみました。