世界中のチャート分析トレーダーに絶大な人気を誇るテクニカルパターンの王道、
エリオット波動理論(Elliot Wave)の使い方とトレードの勝率を飛躍的に高める方法をご紹介します。
エリオット波動はテクニカルトレード最高峰の手法と言われています。名前の響きも格好良い。
エリオット波動を使えば、チャートの動きをいくつかのパターンで先読みできるので、トレンドが反転しそうなポイント(天井や大底)をあらかじめ予測することができます。
エリオット波動は使えないとも言われたりしますが、エリオット波動のパターンがなぜ起こるのか?理解することで、トレード勝率は驚くほど高まります。
ただ、フィボナッチ比率などの他のテクニカルも絡んでくるので、ちょっと理解するのに時間を要する手法かもしれません。
それでも知る価値があります。騙されたと思って読み進めてみてください。
エリオット波動理論(elliot wave)とは
エリオット波動理論は世界中で支持されている相場分析法です。
株式アナリストのラルフ・ネルソン・エリオット(1871~1947年)が考案しました。
エリオット波動は単に相場の値動きだけにとどまらず、1000年単位の歴史の周期まで当てはまるという壮大な視野のパターン法則です。
というのがエリオット波動理論の考え方です。
エリオット波動の基本「上昇5波、下降3波」
エリオットは、値動きのなかに「上昇→下降」の波が一定の規則性をもって何度も出現することを発見しました。
上昇相場の場合は「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」という5つの連続した上昇波から成り立ち、
その後には「下げ→上げ→下げ」という3つの下降波による下降調整相場が出来るというものです。
これを「上昇5波・下降3波」といいます。
下降相場はこの正反対の動きとなります。
エリオット波動理論は3つのルールを覚えれば判別できる
ビットコインなどのチャートの中からエリオット波動のパターンを見つけてトレードに生かすためには、以下の三つのルールが必須要素となっているのでしっかり覚えておきましょう。
- ルール1:第3波が第1波、第3波、第5波の上昇の中で一番短くなることはない
- ルール2:第2波が第1波のスタート地点を割り込む(全戻しする)ことはない
- ルール3:第4波が第1波の高値を割り込むことはない
必要条件ではないが、エリオット波動成立の重要なポイントも覚えておきましょう。
- 第5波は時々第3波の高値を抜けられないことがある
- 第5波がオーバーシュートことがある
- 第3波は最も力強い値動きとなりやすい
- 第2波と第4波はフィボナッチ比率のラインで反転することが多い
エリオット波動はフィボナッチとダウ理論を併用する
反発ポイントはフィボナッチツールで目星をつける
TradingViewではエリオット波動インジケーターの他にフィボナッチ・リトレースメントというテクニカル指標が使えますが、
エリオット波動を使いこなすにはフィボナッチ比率を理解していたほうが圧倒的に捗ります。
フィボナッチを簡単に言うと、人間が本能的に心地よいと感じるフィボナッチ比率(0.618、0.382、0.236)が投資家心理の集合体であるチャートに反映されるというテクニカル分析です。
押し目や反転、利食いポイントなど、トレードの売買根拠を求めテクニカル指標として世界中のトレーダーが意識するということは有効なラインとしてより機能するということになります。
ビットコイン2017年の最高値から底値にフィボナッチリトレースメント引くと、ラインが意識されているのがわかりますね。
関連記事 フィボナッチ描画ツールの使い方はこちらの記事で解説しています。
ダウ理論で市場心理を知る
上昇5波の中にある1波や3波を見つける際に参考になる考え方がダウ理論です。
ダウ理論に「主要トレンドは3段階からなる」という考え方があります。
トレンドには、
- 先行期(一部のトレーダーの仕掛け・仕込み)
- 追随期(多くのトレーダーが参入し本格的な上昇が開始)
- 利食期(勝ちトレーダーの利確、買い遅れたトレーダー達が参入)
という波があるという考え方です。
これはエリオット波動理論にそのまま当てはめることができます。
先行期(上昇1・2波)、追随期(3・4・5)、利食期(下降3波)となります。
大口トレーダーの仕込みが終わった直後の追随期(つまり上昇3波)で最も値幅が伸びるという市場心理が働くなど市場心理を味方につけましょう。
①エリオット波動パターン:上昇5波
前半の5波(推進波・インパルス波動)についてまずは押さえましょう。
トレンド方向の値動きは「上昇5波・下降3波」と呼ばれる、前半の5波(トレンド方向)、後半の3波(トレンドに逆らう方向)という周期で動きます。
インパルスとは推進的(すいしんてき)なという意味です。
前半の5波(トレンド方向)の動きをインパルス波動とも言います。
1~5の波動でそれぞれに群集心理やアクションの段階が定義されていて、それになぞってビットコインのチャートを追っていくと、なるほどと頷ける節があります。
第1波
最初の上昇です。少数の人たちが「この銘柄は割安だ!」と買い始めたことで上げ始めます。
第2波
第1波で買っていたトレーダーの一部が「買われ過ぎなのでは?」と思って利食いし、値が下がります。
しかし、ある程度下がると「この銘柄はやっぱり割安だ!」という心理が働くので第1波を割り込むことはありません。(割り込んだらエリオット波動のマーク付けが間違えています。やり直し)
第3波
これぐらい上昇すると、多くの人の注目を集めています。銘柄の値上がりに気づいて買いが買いを呼び、勢いを増して第1波の高値を超えて上げていきます。
「第3波が一番強くなりやすい」という特徴があります。
第4波
第3波でかなり上げたのでまた「割高」となり、一部の人が利食いするので値が下がります。
しかしまだまだ買いたい人も多くいるので拮抗し第4波の下げは緩やかになります。
第5波
ここでほとんどの一般トレーダーが買いのアクションを取りやすいです。遅れて買う動機は「欲」です。
ここまで上げると、その銘柄の良いニュースが出たり話題になったりします。それにつられて多くの大衆が買わずにいられなくなります。
第5波で買うのはイナゴとか、養分ということです。
最も割高となっている時なので、冷静なプロトレーダーはそこで利食いや空売りを始めます。
これが原因でその後のABCパターン(調整波・コレクティブ波動)という調整の動きに入ります。
②エリオット波動パターン:下降3波
後半の3派(調整波・コレクティブ波動)についてもしっかり押さえておきましょう。
5波からなる推進波トレンドがひと段落すると、3波からなる調整波(コレクティブ波動)が始まります。
コレクティブ波動とは本格的な調整の動きのことです。
調整波には数字ではなくアルファベットのABCが使われます。
調整波には多くのパターンがあるのですが、以下の3つのパターンだけ抑えればあとはその応用です。
なので3つだけ覚えてください。
ジグザグパターン
ジグザグパターンはトレンドに逆らう3波の動きに勢いが強いパターンです。
フラットパターン
フラットパターンは横ばいのレンジの動きです。基本的にa,b,cそれぞれの波動の長さは同じぐらいになる傾向があります。
トライアングルパターン
トライアングルパターンもレンジ相場の一種ですが、三角持ち合いになるパターンです。
三角持ち合いのパターンはペナントだったり様々ですが、この後も推進波のトレンドが継続することが多いです。
インジケーターツールでエリオット波動を描画する方法
TradingViewにあるエリオット波動をカウントするインジケーターを例に解説します。ログインしたらチャートを拡大しましょう。
サイドバーに「~パターン」のテクニカルツールがあるのでクリックしましょう。
「Elliot~」といくつかありますが、使うのは以下の二つだけで十分です。
エリオットインパルスウェーブ(Elliot Impulse Wave)は「上昇5波・下降3波」のうち上昇5波を描くツールです。
エリオットコレクションウェーブ(Elliot Correction Wave)は下降3波を描くツールです。
上昇5波の描き方
テクニカルツール「Elliot Impulse Wave」をえらび、エリオット波動上昇5波だと思う場所を順に1クリックづつしていくと番号を付けることが出来ます。
下降3波の描き方
上昇5波の描き方と同じ要領です。
テクニカルツール「Elliot Correction Wave」をえらび、エリオット波動下降3波だと思う場所を順に1クリックづつしていくとアルファベットを付けることが出来ます。
ラインを消したり、引き直したりしたいときは、引いたラインの右上に現れるこのアイコンもしくは左サイドバー最下部のゴミ箱アイコンをクリックして消します。
エリオット波動の見つけ方、エントリーポイント
波の数から考えて、この相場はそろそろ終わりではないのか?
と常に考えることはトレードで重要な視点です。
エリオット波動では、第3波が一番勢いが強く伸びる傾向があります。
なので、第3波の起点を取りにいくのが一番利益が見込めます。
何らかの理由で相場が底を打ったかもしれないと判断した時、上げ始めたあと(第1波)、目立つ下落が発生します(第2波)。
ここで第1波の起点を第2波が割り込まなければ、次は波動3の上昇が続く可能性が高いと予想することが出来ます。
波動の終点でトレンド転換のチャートパターン 三尊・逆三尊(ヘッドアンドショルダー)などが出現すると確度が上がります。
強いトレンド転換サインなので見逃さないように注視しましょう。
エリオット波動を使ったトレード実例
①大底から第1波が始まる傾向が高い
エリオット波動はなんらかの理由で大きく値動きがあった後から始まっていることが多いです。
大きな値動きがあった場所を探し、その前後のチャートをよく見てみましょう。
また、エリオット波動は連続しているので、終点がすなわち次のエリオットの起点になっています。
②第2波は第1波を割り込まない
エリオット波動を探すとき、そこが第1波かどうか判断するとき、第2波が第1波を完全に打ち消していないかチェックしてください。
③第3波が最も長くなる傾向がある
大きな値動きがあった箇所の前後のチャートの動きを見ることでもエリオット波動が探しやすいと思います。
④第5波は第3波を超えないことがある
このビットコインチャートでたまたまなっていたので取り上げたのですが、第3波が第5波よりも高いことがあり、これもエリオットの崩れたパターンなので間違えないようにしましょう。
⑤大口はエリオット波動の推進波で仕掛けてくることも多い
このビットコインチャートでは、次のエリオット波動の推進波3波・5波で大きく上昇しています。修正波のc波(最後の波動)も仕掛けられやすいです。
5波の上昇がかなり急なので、もしかしたら大口の買い上げが起きた場所かもしれません。
大口の投資家は、いつも適当なタイミングで価格操作をしているのではなく、なんらかのテクニカル指標にのっとってサインを出している可能性があります。
三尊(ヘッドアンドショルダー)なんかもそうですし、このエリオット波動の推進波というのも、仕掛けやすいタイミングなんだと思います。
大口の無言の合図は、エリオット波動を追っていれば察知できるようになるかもしれませんよ。
エリオット波動理論に関するQ&A
エリオット波動をマスターすれば必勝ですか?
いいえ。
エリオット波動をマスターしたから相場で億万長者になったという人を今まで見たことがありません。
相場分析の一つとして使えますが、エリオット波動だけでなんでもできる、と豪語する人はあまり信用しない方がいいかもしれません。
エリオット波動は独学で身に付きますか?
はい。
エリオット波動は独学で身に着けることができます、オンラインサロンとかに入る必要は全くありません。
エリオット波動はインチキですか?
エリオット波動は解釈次第でどうにでも分析できるから嘘くさい、という人もいます。
しかし、波動を使ったトレードの実例を見てもらえばわかる通り、その波動が形成されることには理由があります。何を利用して何を利用しないかの取捨選択の問題だと思います。
エリオット波動理論のまとめ
エリオット波動理論を使いトレードの勝率を飛躍的に高めるというテーマで、エリオット波動の考え方、ビットコインFXでの使い方などをまとめてみました。
以下の三つのルールが必須要素となっているのでしっかり覚えておきましょう。
- ルール1:第3波が第1波、第3波、第5波の上昇の中で一番短くなることはない
- ルール2:第2波が第1波のスタート地点を割り込む(全戻しする)ことはない
- ルール3:第4波が第1波の高値を割り込むことはない
必要条件ではないが、エリオット波動成立の重要なポイントも覚えておきましょう。
- 第5波は時々第3波の高値を抜けられないことがある
- 第5波がオーバーシュートことがある
- 第3波は最も力強い値動きとなりやすい
- 第2波と第4波はフィボナッチ比率のラインで反転することが多い
第1波と第3波がどこなのかを探すと、エリオット波動のパターンをチャートに見つけやすいです。
第2波は第1波を割り込まない、第3波は一番長く勢いがあることが多いので、そのような形を探すと見つけやすいと思います。
トレンドに強く反応する第3波始点でのエントリーが効果的なトレード戦法です。
FX相場に絶対はないので、エリオット波動やフィボナッチ比率が外れる可能性もありますが、
エリオット波動を正確に把握してトレードをすると、驚くほど勝ちやすくなります。
エリオット波動は覚えることが多いので、一度読んだだけでは理解できないかもしれません。
しかしそれでも何度も読んで、実行して理解してみてください。
その勉強の対価として十分な効果が実感できると思います。
私もエリオット波動を使うようになってトレードで負け越したことが一度もありません。
是非このテクニカル指標の最高峰を攻略してやりましょう!
エリオット波動理論おすすめ書籍
エリオット波動研究
日本語のエリオット波動理論の書籍の中では最も読みやすく、基礎からトレード戦略まで丁寧に解説されています。
一般社団法人日本エリオット波動研究所という団体は正直うさん臭さがありますが教科書としては良書です。
コメント欄
bit仙人さんいつも記事ありがとうございます。
今回エリオット波動の5波の記事で
暴騰することも多く、第1波から第3波の8%の上昇率が多い。と記載があったのですが、エリオットの起点から3波の1.08に5波がなりやすいと言うことでしょうか?また
数字の8%の上昇とは4波の位置から1.08の値でフィボナッチを引いたら5波のおよその位置と言うことでしょうか?
今後のアップデートで図で書いていただくことできないでしょうか?
>暴騰することも多く、第1波から第3波の8%の上昇率が多い。と記載があったのですが、エリオットの起点から3波の1.08に5波がなりやすいと言うことでしょうか?
>8%の上昇とは4波の位置から1.08の値でフィボナッチを引いたら5波のおよその位置と言うことでしょうか?
エリオット波動の起点から3波の上昇率×1.08に、4→5波の上昇率がなりやすいと言うことだと思います。
ただ、実際のチャートにフィボナッチを引いた方が現実的なポイントが分かりやすいかと思います。
また、エリオット波動の成立のポイントとして「第5波は時々第3波の高値を抜けられないことがある」のとおり、「8%の上昇」はかなりザックリとした定義であり、実際のターゲットはフィボナッチやラインの組み合わせで導き出す方が確度が高いと思います。