海外ビットコインFX取引所で日々研究に勤しむ仙人ですが、
今回は数あるテクニカルトレード理論の中でも、
日本ではメジャーではないけれど世界で幅広く知られている”ギャン理論“をご紹介したいと思います。
これを読めば、生涯を通して利益率4000%を誇ったという伝説的トレーダー、
ギャン氏の未だに色あせない投資手法が現在のビットコインFX相場でも充分通用することがわかります。
また、TradingViewでも使えるギャン・スクエア、ギャン・ファン、ギャン・ボックスの使い方を解説します。
他のテクニカル分析でとは違うユニークな手法もあるので、あなたの相場分析の大きな武器の一つになるでしょう。
他のテクニカルツールを使ったトレード方法もご紹介しています。
ギャン理論とは?
アメリカの投資家である「ウィリアム・ディルバート・ギャン(william delbert gann)」が提唱した、投資において勝つための投資法を28個のルールでまとめたものが「ギャン理論」です。
実績は勝率は80%、利益率は驚異の4000%、1955年に78歳で生涯を閉じた時の遺産は5000万ドルだったと言われています。
ギャン理論の実践的なテクニカルツールはギャン・スクエアとギャン・ファン(アングル)が有名です。
ウィリアム・ギャンの理論は、約700年にも及ぶ相場資料をベースに完成されており、過去の相場の推移を分析することを重視しています。
ギャンの理論はトレンドの発生・終了やおおよその発生時間も予測するという、他のテクニカル分析にはない具体的な戦略が特徴です。
ギャン理論を知らない人が確度の高いトレンド発生や終点を予測することは非常に困難ともいわれています。
ギャン理論のメリット
- なぜそこから始まるのかが明確に分かるので、トレンドの始まりを捉えられる。
- なぜそこで終わるかが明確だからトレンドの終わりを捉えられる。
- トレンドの発生から、終わりまでをチャートに当てはめて説明できる。
ギャン理論の28のルール
ではギャンが残した28のルールを見てみましょう。
どれもハッとするような言葉ばかりで非常に為になります。
理論1 資金10等分・取引額は全資金の10分の1。
資金を10等分し、1回の取引額は全資金の10分の1とする。
つまりビットコインFXのようなハイレバレッジ取引の中で、資産を10等分にわけてどんな暴落が来てロスカットされたとしても、手元に9割の資産が残るようにリスク分散しておくことが重要であると言っています。
たしかに、ビットコインFXはとてもハイリスクな金融商品です。
油断していたら全財産をむしり取られてしまうことも十分考えられます。
資産を等分してリスク管理をするというのはすごくいい作戦ですね。私も実行します。
理論2 ストップロスを使い損切りは最小限に。
ストップ・ロス・オーダー(逆指値注文)を使い、損切りは最小限に抑える。
指値注文をしておくというだけでなく、逆指値注文やリミットオーダー、トレーリングストップなどの特殊オーダーを使い損切りと利食いは徹底して小刻みに調整することを推奨しています。
Bybitの逆指値などのオーダー方法の使い方はこちらの記事に書いているので参考にして下さい。
理論3 過剰な取引をせず資金配分を守る。
資産を10等分に分けるということに通じていますね。
理論4 含み益を減らさぬよう逆指値を上げていく。
利益を損失に変えない。含み益が出た後は、利益を減らさぬよう、逆指値を上げていく。
ストップ・ロス・オーダー(逆指値注文)を使い、損切りは最小限に抑えるということに通じていますね。
含み益が出て、まだビットコインチャートが伸びそうだと思っても、
逆指値注文やトレーリングストップ、口座から資産を出金して利益を確定させるなどして、含み益をいち早く確定しておくことが重要だということですね。
理論5 トレンドには逆らわない。
順張りをメインにして逆張りは慎重に、ということでしょうか。
私も下落トレンドで逆張りロングをして何度も悔しい結果になりました。
日足が下落トレンドなら安易なロングはしてはいけません。
理論6 迷った時はポジションを解消する。
迷った時は手仕舞い、ポジションを解消する。
相場の方向性が読めないときは無理にポジションを持つことは避け、ノーポジになることも大切です。
理論7 売買が活発な銘柄で取引を行う。
値動きがあり売買が活発な銘柄(市場)で取引を行う。
ビットコインのように世界中で四六時中トレードがある銘柄でトレードを行うべきですね。
その理由は、ある程度の売買規模がないとテクニカルが通用しない大きな売り買いで相場が操縦されてしまうからです。
より多くの投資家心理が集まるところにトレード戦略は生きてきます。
理論8 リスクを避けるため、分散投資する。
資金の一極集中を避ける。
資産を10等分に分けることに通じていますね。
理論9 全て成り行き注文で売買する。
指値注文ではなく、全て成り行き注文で売買する。。。
BitMEXでは成行注文は取引手数料がかかるので、なるべく指値注文を使っていきたいところですが。
つまりは、チャンスに乗り遅れるくらいなら成行注文を使ってためらわずエントリーしろってことでしょう。
理論10 根拠の無い理由では手仕舞いしない。
手仕舞いするときには、なぜ手仕舞いするのか?考えてから決済オーダーを出しましょう。
理論11 利益は別口座に移し、緊急時に備える。
利益は蓄積し、一部は別口座に移し、緊急時に備える。
暴落・暴騰リスクが常にあるビットコイン相場ですから、別口座に移して利益を確保しておくことは何よりも大切です。
マイナーな取引所ではGOX・凍結リスクもありますから分散管理は必須です。
理論12 配当や僅かな利益目的で売買しない。
わずかな利益目的でエントリーするとしても、損失のリスクが大きいもしくは不確定であれば思わぬ深手を負ってしまう危険があります。
あくまでも、どこに利益の期待値を持っていくか確認しましょう。
理論13 ナンピンはトレーダーの最大の誤りである。
ナンピンはするな、ってことですね。
順張りトレードを推奨しているので、逆張りが前提であるナンピンはもってのほか、ということでしょうね。
理論14 我慢できないというだけで相場から逃げない。
「待つのも投資」
「いい投資というのは本当に退屈なものだ」
という言葉があるように、待つことやノーポジでいることは勝つ為に重要な技術です。
理論15 小さな儲けと大きな損は避ける。
小さな儲けや配当目当ての安易なエントリーと、コツコツドカンは避けましょう。
コツコツドカンを起こさないようにリスク管理を徹底したいですね。
理論16 建玉と同時に逆指値を行いキャンセルしない。
建玉と同時に逆指値を行い、これをキャンセルしない。
エントリーや指値注文を出す時にすでに逆指値を決めておくということですね。
そしてどんなに相場の値動きが魅力的に見えてもストップロスはキャンセルしない…
つまりぶれないトレード戦略をも持つことが大事であるということです。
理論17 極端に頻繁な売買は避ける。
ビットコインFXではスキャルピングも人気のトレード方法としてありますが、ギャン理論では推奨していないようです。
理論18 買いだけでなく空売りも積極的に活用する。
買い(ロング)だけでなく空売り(ショート)も積極的に活用する。
ビットコインFX初心者には、「ショートは悪!」と勘違いをしている人もいるかもしれませんが、結局買い戻される運命にある空売りは善でも悪でもありませんし、そんな感情論で勝てるほど甘いものではありません。。。
理論19 安い・高いという理由で売買してはならない。
値ごろ感に捉われずトレードをするようにしましょう。
今はお買い得かも、と思ってロングしたら更に暴落して最安値更新…なんてことはビットコインによくあることです。
理論20 ピラミッティングのタイミングに注意。
ピラミッティング(乗せ商い)とは、ギャンが考案した手法で、
最初にまとまったポジションを建てておき、期待通りトレンドに乗れば、保有ポジションの含み益を担保として買い上がり、売り下がりを行い、更にポジションを積み増ししていく取引手法のことで、積み増すポジションは徐々に減らしていくのが一般的である(スケール・ダウン・ピラミッディング)。
逆張りのナンピンは非推奨だけど、順張りの買い上がりや売り下がりは推奨しています。
ただ、タイミングは難しいですね。。。
理論21 ピラミッディングは上げるほどに小さな枚数で。
上昇相場で買い増す場合、上げるほどに小さな枚数で買い増していく、
下落相場で売り増す場合も同様に、下げるほどに小さな枚数で売り増していくということですね。
理論22 ヘッジしようとして別の銘柄を空売りしてはいけない。
ある銘柄を買い建てしていて、その価格が下がり始めた時、これをヘッジしようとして別の銘柄を空売りしてはいけない。
ビットコインFXでロングして、アルトコインFXのリップルでショート、とかしてはいけないんですね。
場合によっては相当利く戦略だと思うんですけど、ギャン的に非推奨なようです。
理論23 明確な理由なしにポジションを変えない。
明確なルールによる判断やトレンド変換など理由がハッキリしないのであればむやみに手を引かない。
自分のトレードルールに忠実にあれ、ということでしょう。
理論24 充分な利益を得た後は取引量を減らす。
充分な利益を得たとあとは、調子に乗ってリスクを多くとってしまうのが人間ですね。
ですが、どれだけ絶好調でイケイケのときでも全資金を投入するようなことはしないようにしましょう。
理論25 相場の天井(底)を闇雲に決め付けない。
相場の天井や底は、過去を振り返ってみて、「あの時がそうだったんだ」とわかることが多いです。
何故なら、相場(に参加する機関投資家)は多くの個人投資家の予想の裏をかくことで大きな利益を得るようなトレードを仕掛けてい来るからです。
理論26 他人の助言を鵜呑みにしない。
自分で研究し、自分のルールを持つ。
ツイッターで有名なあの人がロングと言ったから…なんて理由でエントリーしていたら永久にトレードで勝てるようにはなりません。
理論27 ロスカットした後は取引量を小さくする。
ロスカットしてしまったときは、頭に血が上ってしまって大きなポジションで取り返そうと思うかもしれません。
ですが、これはさらに負けを重ねてしまう典型パターンです。
そしてもし3回連続で損を出した時には、元手の10分の1のリスクに抑えるように言っています。
理論28間違えて手仕舞うことも避ける。
間違えて入るのをさけるのと同じく、間違えて手仕舞うことも避ける。とのことです。
操作ミスは極力なくすということですかね。
TradingViewでギャンツールを使う方法
チャートツールでギャン・スクエア、ギャン・ファン、ギャン・ボックスを使うことが出来ます。
チャートのサイドにある画像のアイコンをクリックすると、ギャンツールが選択できます。(アイコンがない場合はチャートを拡大すると表示されます)
ギャン・スクエア
サイドバーの最下部アイコンをクリックすると引いた線を削除できます。
ギャン・ボックス
ゴミ箱アイコンをクリックでも削除できます。
ギャン・ファン
それぞれのテクニカル指標の使い方を以下で説明します。
ギャン・スクエアとは?
このように正方形の連続と、放射線を重ねたようなチャートツールです。
縦軸は価格、横軸は時間を表し、45度線は時間と価格が1対1である変動領域と解釈されます。
時間と価格を1対1とすることで正方形が出来上がります。(厳密には正方形ではない)
使い方としては、直近の高値のところを起点として、現在時間まで線を引きます。
高値・安値の値段と、高値と安値の間に要した時間によって単純に時間あたりの変動幅が視覚的に確認できます。
ギャン・スクエアはちょっと変わったユニークなテクニカル分析手法なのですが、時間と価格との関係性をフラットに考えるときに役に立ちます。
ギャン・ファン(ギャン・アングル)
ギャン・ファン(ギャン・アングル)はガンチャートとも呼ばれています。
高値のトップ、もしくは安値のボトムを起点として、
価格と時間の比が
1:8
1:4
1:3
1:2 重要サポート、レジスタンス
1:1 45度ライン 基本ライン エネルギーの均衡点
2:1 重要サポート、レジスタンス
3:1
4:1
8:1
の各ラインを自動で引き、それぞれのギャン・ファンがサポート、レジスタンスになる。
強気の45度線よりも上に価格がある場合は強気相場、
弱気の45度線よりも下に価格がある場合は弱気相場と判断する。
というのが有名な使い方のテクニカルツールです。
ギャン・ファンの1×1チャネルライン
1×1チャネルラインとは、ギャン・ファンに平行なチャネルラインを描画し、
そのチャネルをレンジの幅と想定するものです。
ギャン・ファンのクロス
ギャン・ファンのクロスとは、高値からの下方アングル、
安値からの上方アングルがクロスした点を、
重要変化ポイントとして見る判断方法です。
価格上の重要ポイントとしてだけでなく、時間上の重要ポイントとしても見るべきものとされます。
ギャン・ファン(ギャン・アングル)は単なるトレンドラインではなく、時間と価格の均衡をチャートに導き出したものなのです。
「重要な安値・高値をつけた時点で対応するギャン・ファン、重要な高値・安値時点からギャン・ファンを引いたもの」を真のトレンドライン True Trend Line (TTL)とも呼びます。
このラインを抜けなければ、本当に中期でのトレンドが転換したとはいえないと考えていたからです。
関連記事 Bybit・BitMEXの手数料ルールについて詳しく解説
ギャン理論まとめ
ギャン理論とは?ビットコインFXで使えるスクエア・アングルの使い方、というテーマでまとめてみましたがいかがでしたか?
ギャンの28の投資ルールから、実践的なギャンスクエアやギャンアングルなどの使い方を見てきました。
あまりビットコインFXで活用している人がいない印象のトレード手法ですが、必ず通用するテクニカル手法なので、是非ギャン理論・ギャンスクエアなどを理解して分析に活用してみてくださいね。
コメント欄