海外の仮想通貨取引所には無期限先物(Perpetual swap)というビットコイン先物がメインの取引商品として存在します。
無期限先物は満期日がない代わりに資金調達率(Funding rate)というスワップ金利が手数料の一種として課されます。
実は主要海外取引所の資金調達率の数値に注目することで、ビットコインの値動きを読む方法があります。
この資金調達率を利用した無期限先物ビットコインFX、イーサリアムFXなどは指標として充分通用する手法なので、
- 資金調達率(Funding rate・スワップ手数料)とは何なのか?
- なぜそれがトレードに有用に機能するのか?
- 資金調達率をトレードに生かす方法
を解説していきます。
資金調達率(スワップ金利手数料)とは
資金調達率(英語でFunding rate・スワップ手数料の一種)とは、テイカー・メイカー手数料の他にあるトレード手数料で、スワップポイントとかスワップ金利・建玉管理料とか呼ばれることもあります。
登録も簡単なBybitなど海外ハイレバ取引所では、無期限先物(Perpetual Swap)つまりビットコインFX(BTC/USD)、イーサリアムFX(ETH/USD)、リップルFX(XRP/USD)などに適用されています。
同じ仕組みはOKXやBinance Future、FTX等主要海外取引所にもあります。
Funding手数料は相場状況により随時変動していく手数料で、特定の時間(8時間ごと等)にポジション(ロング or ショート)を持っていると手数料の支払い/受け取りがそれぞれポジションを持っている人のアカウントに発生します。
ロング側 | ショート側 | |
---|---|---|
資金調達率が+ | 支払う | 貰える |
資金調達率が– | 貰える | 支払う |
資金調達率は、現物価格との乖離を修正するために設定されており、仮想通貨の先物銘柄には仕組みは違えど、ほぼこのようなスワップ手数料があります。(限月先物、Futuresにはありません)
資金調達率の変動幅
ETH/USD・XRP/USD等アルトコイン銘柄は稀にこれを超える場合があります。
資金調達率の発生タイミング
資金調達率の発生時間は取引所ごとに決まっていて、取引高の大きい取引所から重要度が高くなります。
BitMEXでのFunding手数料支払いタイミングは8時間ごと日本時間「5時、13時、21時」に発生します。
BybitでのFunding手数料支払いタイミングは、日本時間「1時、9時、17時」です。
オーダーから8時間後ではなく、上記時間が発生時間です。
Funding手数料を払いたくなければ上記時間になる前にポジションを手仕舞いにしておけば発生しません。
Funding手数料は馬鹿にならない
テイカー・メイカー手数料と同様に、スワップポイントは証拠金ではなく、レバレッジがかかったポジション総額にかかります。
5万円を証拠金にして100万円のレバレッジ取引(レバレッジ20倍)のポジションを持ったのであれば、元本の5万円ではなく100万円に手数料がかかります。
仮にFunding手数料MAXだったとすると100万円の0.375%ということで、3750円の手数料が発生することになります。5万円の元手だったとしても10数回受け取ると証拠金を倍に出来てしまいます。
Funding手数料 | -0.375% ≦ -0.001% 0.001% ≦ 0.375% |
---|---|
発生タイミング | 8時間ごと(Bybit 1/9/17時、BitMEX 5/13/21時) |
反対にショートポジションを持っている人が多い場合はチャートが下目線でとらえている人が多い状況だといえるでしょう。
今のトレンドを把握するのにも役立ちます。
Funding手数料確認方法
BitMEXのトレード画面サイドバーの一番下の部分「資金調達率(Funding rate)」で確認できます。拡大してみました。(Bybitもサイドバーのほぼ同様の位置です)
この画像では「0.01%が6時間後」となってるので、手数料はそこまで高くありませんね。
「0.01%が6時間後」ということはつまり
- ロング側は0.01%徴収される
- ショート側は0.01%貰える
ということになります。
「-0.01%(マイナス)」だった場合はロング側とショート側の支払い関係が逆になるということです。
ちょっとややこしいですがしっかり理解しておきましょう。
過去の資金調達率の履歴を調べる方法
また、過去の資金調達率の履歴を見ることもできます。
BitMEXのトレード管理上部メニューから「①契約(Contract)」、サイドバーの中から「②資金調達履歴(Funding fee history)」をクリック。
過去の資金調達履歴の一覧を見ることができます。最近のBitMEXではETHUSDとXRPUSDの履歴も確認できますが、画像の中の記号(XBTUSD)をクリックするとその銘柄だけの履歴を見ることができます。
資金調達が受け取れるポジションを持って両建て
まず、一つ目の資金調達率を使ったトレード戦法は、ロングとショートを同数立てて両建てする方法です。
例えば、資金調達率が0.05%とかでショート受け取りが続いていたとしましょう。(基本的に相場が落ち着いているときの資金調達率は0.01%になるようです)
そんなときは、無期限先物XBTUSDでショートポジションを持ち、OKXやFTXなど限月先物(Futures)がある取引所で同数のロングポジションを持ちます。
こうすることで価格の変動によって受ける損益の増減を微小に抑えることができます。
あとはこのFunding rateが受け取れる両建てポジションを、受け取りが終わるまで放置するだけです。
儲けは少ないですが、確実に利益を増やすことができるので必勝法に最も近いと言えます。
Funding手数料発生時間が攻略ポイント
二つ目の資金調達率を使ったトレード戦法です。
資金調達率が上限の0.375%付近まで大きくなっている時に仕込めば、それを狙う人が続出するので相場が大きく動きます。
10万ドルのポジションを持っていれば3万円以上の手数料が発生するわけですからね。
エントリーするタイミングと条件
エントリーするタイミングは以下の2点です。
- 手数料が発生する時間の直前/直後
- 資金調達率が最低でも±0.100%以上ある時
Funding手数料の利益とトレード利益を同時に狙いたい場合は、エントリーするタイミングは手数料が発生する時間(BitMEXでは5時、13時、21時)の直前、少なくとも2分前には入りたいところです。
ただ、チャートの形とトレンド方向によって入るタイミングが変わってきます。
受取側が順張り | 受取側が逆張り |
---|---|
受け取り側のポジションが、トレンドに順張りである場合は資金調達の前にエントリーします。 | 受け取り側が逆張りのポジションである場合には、資金調達直後にエントリーします。 |
また、資金調達率の下限は±0.001%ですが、エントリーする条件としては最低でも±0.1%以上ある時に限定にしましょう。
もっとシビアに±0.2%以上というルールを決めてもいいと思います。
エントリーする方向
方向性が今一つはっきりしないレンジ相場では、資金調達率がプラス手数料(+0.2%とか)の時はショートポジションを、マイナス手数料(-0.2%とか)の時はロングポジションでエントリーします。
ただ、トレンドがはっきりしている相場では、必ずしもそうではありません。
トレンドに順張りなのか、逆張りなのかを意識してエントリーのタイミングは変化します。
受取側が順張り | 受取側が逆張り |
---|---|
受け取り側のポジションが、トレンドに順張りである場合は資金調達の前にエントリーします。 | 受け取り側が逆張りのポジションである場合には、資金調達直後にエントリーします。 |
成行注文か指値注文か
資金調達率の支払い時間に余裕をもってエントリーできる状況であれば可能な限り指値注文にしましょう。
理由は、テイカー手数料は総じて高い傾向があるので手数料負けする可能性が高くなること、そしてメイカー手数料分も儲かるからです。
指値オーダーが思うように刺さらなかったリ、資金調達率の支払い時間直前でエントリーするなら成行注文で構いません。利確タイミングは、欲張らないようにしましょう。
指値注文で入っていたのなら、同値撤退でも構わないくらい防御力高めでいきましょう。
急激にチャートが動くようだったら成行注文で利確でもいいと思いますが、テイカー手数料がそれなりにかかり手数料負けするので注意しましょう。
予測率は0.01%と高くないので、資金調達も見込んだショートポジションの決済が続出するだろうという考察です。
動画でも資金調達率トレード手法を解説してます
Youtube動画にて無期限先物の資金調達率金利スワップを利用したトレードの細かな話も織り交ぜて解説しているので、補足で観てください。
資金調達率トレードの注意点
ただ、この資金調達率(Funding rate)を使ったトレード手法にもリスクがあります。
逆張りの場合、手仕舞いタイミングは素早く
たとえば、下落トレンドの真っ只中に、資金調達率がマイナス0.3%ほどあったとしましょう。
この資金調達率攻略法の手順に従えば、手数料も狙えるので当然ロングポジションでエントリーすると思います。
しかしトレンド的には下目線で逆張りエントリーであった場合、急な価格の上げは、ショート勢の恰好の売り叩きにあうことになります。
なので上がったらその分売り戻され、反動でエントリーした時より価格を落とされかねません。
そうなったら元も子もないですから、トレンドに逆らっている場合は、利確も素早く、成行売買で構わないのでさっさと逃げましょう。
大口に狩られるリスク
この資金調達率必勝法ですが、弱点もあります。
大口の資金を潤沢にもったプレイヤーに狩られるリスクがあります。
たとえば、資金調達率が最大の+0.3%ほどあったとしましょう。
当然手数料が多くかかるので、ロングを手じまいにする人が増え、ショートをエントリーする人が増えます。
そのタイミングで大口のロング爆買いをされるとショートポジションでロスカットされる人が多発し、それが燃料となって大きく上昇することになります。
あまりそこまで露骨な動きはこれまで起きたことはありませんが、大口に狩られるリスクもあるということを考えながら、
証拠金を調整するとか、レバレッジ最大倍率を下げておくとか、対策をしておくとより確実に利益を出すことができるでしょう。
関連記事 Bybit(バイビット)スマホアプリの使い方はこちらで解説
資金調達率(Funding rate)のトレードに関するまとめ
資金調達率(スワップポイント手数料)を利用してチャートの先を読めば必勝か?Funding rateでチャートを読むビットコイントレード戦術というテーマで資金調達攻略法をご紹介しました。
以下に資金調達率(Funding rate)で抑えるべきポイントをおさらいしましょう。
Funding手数料 | -0.375% ≦ -0.001% 0.001% ≦ 0.375% |
---|---|
発生タイミング | 8時間ごと(Bybit 1/9/17時、BitMEX 5/13/21時) |
ロング側 | ショート側 | |
---|---|---|
資金調達率が+ | 支払う | 貰える |
資金調達率が- | 貰える | 支払う |
思ったより値動きがない時もありますし、大口投資家が仕掛けてきたら逆に動かされるときもあるでしょう。
「そういったリスクもある」と警戒しながら、ストップロスや利確ラインをしっかり確認して、なるべく指値注文を使ってエントリーしてみましょう。
また、今回の他にもトレード手法を考察しているので読んでみてくださいね。
コメント欄