ビットコインFXに勤しんでいる仙人ですが、今回はFX全般に広く使えるハーモニックパターンを用いたトレード手法について解説しています。
新しい手法なのでまだ日本ではあまり使っている人がいないハーモニックパターンですが、欧米や西欧では有名なトレード法です。
チャート分析ツールTradingViewでも標準で使えるのですが、ハーモニックパターンの特徴と使い方、基本形である「ABCDパターン(XABCDパターン)」を中心に、トレード手法のメリットとデメリットについて解説します。
ビットコインFXでももちろん通用するものなのでぜひ使い方を覚えましょう。
ハーモニックパターン記事一覧
※記事末尾に参考文献を記載
ハーモニックパターンとは?
一言でいうと、幾何学的なパターンとフィボナッチ比率を利用した、チャートのフォーメーションパターンです。
ダブルトップ・ボトム、トリプルトップ・ボトム、ヘッドアンドショルダー(三尊・逆三尊)などの昔からあるチャートパターンにフィボナッチ比率のアプローチを加えたテクニカル分析手法がハーモニックパターンです。
画像のように、高値安値を結んだ値幅同士の比率と、チャートの形から反転場所を特定するのが基本形となります。
ハーモニックパターンの特徴
ハーモニックパターンは形ごとにどのフィボナッチ数を使うか明確に決まっています。
- 確度の高い相場のトレンド転換を狙える。
- 欧米のトレードではメジャーなので、高い勝率が望める
- ハーモニックパターンは頻出はしない
- 複数パターンの成立条件を覚える必要がある。
と言った特徴があります。
ハーモニックパターンには、ガートレー/バタフライ/バット/クラブの有名な4種類、さらにサイファー/ネンスター/シャーク/ホワイトスワン/ブラックスワン/スリードライブなど色々あるので後ほど紹介していきます。
ハーモニックパターンを使うメリット
ハーモニックパターンを使ったトレードのメリットは以下の点です。
- トレンド反転を高い確率で当てる
- 反転場所を特定しやすい
メリットその1 トレンド反転を高い確率で当てる
PRZ(Potential Reversal Zone)と呼ばれる、反転が想定されるポイントからの反転 (15%以上の値幅) は統計上90%前後と言われており、使いこなせるようになれば大きな武器になります。
メリットその2 反転場所を特定しやすい
パターンを認識したら、計算によってエントリーするべきポイントであるPRZ(Potential Reversal Zone)が求められます。
言い換えればシストレみたいなものなので、やり方を覚えたら初心者でも誰でも使うことが可能です。
ハーモニックパターンのデメリット
ハーモニックパターンを使ったトレードのデメリットは以下の点です。
- 使いこなすのに練習が必要
- チャンスを待つ忍耐力
- 未だ発展途上の手法
欠点その1 使いこなすのに練習が必要
パターンの種類がいくつもあるので、ある程度暗記や練習が必要になります。
4つのパターンの成立条件にフィボナッチ比率なども絡んでくるのでちょっと複雑です。
欠点その2 チャンスを待つ忍耐力
パターン完成後に手堅くエントリー場合、形が完成まで待つ忍耐力がいります。
早めにエントリーするなら、損切ポイントは比較的明確にわかるので、事前にしっかりと損切りポイントを定める必要があります。
欠点その3 未だ発展途上の手法
昔からあるチャートパターン以外にも最近になって研究された形もあるので、情報が比較的少ないです。
シャークパターンなど新パターンも増えています。
ハーモニックパターンの基本はABCD
ABCDはハーモニックパターンの基本となるパターンで、いくつかの他ハーモニックパターンもABCDパターンに基づいています。
ABCDパターンは3つの価格の動きで構成される
AB線とCD線は「脚」と呼ばれ、BC線は調整またはリトレースメントと呼ばれます。 ABとCDの長さはほぼ同じです。
ブルABCDパターンは、下降トレンドに続き、上昇への反転する可能性が高いことを意味します。ベアABCDパターンは上昇トレンドの後に形成され、あるポイントで弱気の反転が起こる可能性があることを示します。ブルABCDパターンもベアABCDパターンもルールは同じです。
ABCDパターンは更に細かく分けると3の形に分類できます(以下の画像の3つのパターンはすべてブルです)。
一般的なABCDパターン(Classic ABCD)
C点はABの61.8%~78.6%(ABのフィボナッチリトレースメント使用:C点は61.8%に近いはずです)。D点は、BCのフィボナッチエクステンションの127.2%~161.8%になる必要があります。
AB = CDパターン
CDの長さはABの長さがほぼ同じで、A点→B点への移動時間はC点→D点への移動時間とも同じです。つまりABとCDの角度は同じになります。このABCDパターンは分かりやすく頻繁に見られるのでトレーダーの間で人気です。
理想的なAB=CDパターンは、ABに対するリトレースメントは0.618もしくは0.786 が望ましい、と述べられています。
ABCDエクステンション(Alternate ABCD)
CDがABの127.2%~161.8%のエクステンションである場合です(フィボナッチで強く意識されるポイント)。また、CDはABよりも2倍以上大きくなることもあります。CDはABより長くなりがちだと言われています。
CDがABの値幅よりも伸びずに値動きが終わってしまうパターンはAlternate(オルタネイト) ABCDパターンといいます。厳密にはABCDエクステンションもオルタネイトなんですが分けるために区別しました。
CDがABの値幅よりも伸びない時も、0.618倍と0.786倍のフィボナッチは非常に強く意識されるポイントなので値動きが荒くなりやすいです。
フィボナッチやパターン描画ツールTradingViewを活用
フィボナッチやハーモニックパターンXABCDの線画は、bybitのツール(TradingView)を使っていきましょう。
「Cypher Pattern」や「三角パターン」「Three Drives Pattern」を使うことでチャートに以下のような図を描画することもできるので、パターンの発見に役立ちます。
ABCDパターンのトレード方法
ブルABCD(上昇パターン)の場合、
- CはAよりも安くBよりも高くなる
- DはBよりも安く安値更新する
ことが条件となります。
ハーモニックパターンを見極めるには「ZigZag」も便利
まず、価格の高値と安値を見てチャートを調べましょう。
チャート上で値動きを分かりやすく表示するジグザグインジケーターがTradingViewで使えて便利です(チャートのインジで「ZigZag」と検索)。
ハーモニックパターンのエントリーポイント
基本的には価格がD点(終点)に達した後にトレードを開始することになっています。
ただ、相場がD点に近づいても価格反転したことを確認するまではエントリーするべきではありません。
サポートラインやオシレーター系インジの反転シグナルもみましょう。
ABCD – fbs
ZigZagを表示してビットコインFXチャートを見ていると多くのABCDパターンを見つけることができます。フィボナッチツールを併用してABCDパターンの精度を高めていきましょう。
ハーモニックパターンの種類一覧
ハーモニックパターン ガートレー
ガートレーパターンは4つのハーモニックパターンの中で2点フィボナッチの数値(61.8・78.6)が固定されていて判別しやすいです。
まず、XAに対して戻りが61.8%であることが第1条件です。
そして、安値を更新せず切り上がり、78.6%(D点)で下落していきます。
D点のエントリーに適したポイントをPRZといいます。
ハーモニックパターンは基本的にPRZからのエントリーになります。
その形になるまでしっかり待っていないといけないため、結構忍耐力が必要になります。
ハーモニックパターン バット
チャートの形がコウモリの羽に似ていることでバットパターンと呼ばれています。
XAの戻りが38.2〜50%、安値を更新しないで88.6%(D点)で下落していきます。
戻りが38.2〜50%と幅広いですが、エントリーするのは88.6と決まったポイントなので、
エントリーしやすいハーモニックパターンです。
88.6での反発を確認してからD点以降エントリーする流れになります。
ハーモニックパターン バタフライ
チャートの形が蝶の羽の形に似ているためバタフライパターンと呼びます。
XAの戻りが78.6%で安値を更新せず、127.2〜161.8%の間で下落します。
バタフライはPRZの数値が定まってないので、エントリーするのが難しいです。
フィボナッチの数値の間隔が大きくダマシになることもあるので、D点でエントリーするのはあまりおススメしません。
ただ、点Cで安値更新しないことを確認したら127.2%(D点)までエントリーするのはありです。(バタフライのみ有効)
戻りが78.6%(B点)だったときにC点が反転するのをしっかり待ち、ロング利確を127.2%(D点)のラインに設定。他のインディケーターを組み合わせることで確度を高めるのが定石です。
ハーモニックパターン クラブ
チャートの形がカニの手に似ていることからクラブパターンと呼ばれています。
XAの戻りが38.2〜61.8%で安値更新しないで161.8%(D点)で下落します。
これはD点が決まっているためエントリーしやすいですが、戻り(B点)が38.2〜61.8%でガートレーとバットと被ります。
ガートレーは61.8%と決まっているのですが、バットとクラブはほとんど同じなので、38.2〜50%の場合はまずバットの可能性を疑います。バットのD点である88.6を上抜けたらクラブの可能性を予想するという流れになります。
クラブは戻りの範囲(B点)が広いため他のハーモニックパターンとかぶるので少し判別しにくいですね。
ハーモニックパターン サイファー
サイファーパターンは以下の条件で成立します。
B点はXAに対して、0.382から0.618のリトレースメント、
C点はXAに対して、1.272から1.414のプロジェクション、
D点はXCに対して0.786のリトレースメントとなります。
反転の第一ターゲットはCDの0.382リトレースメントで、第二ターゲットはCDの0.618リトレースメントとなります。
C地点がAを切っているのが大きな特徴です。
ハーモニックパターン シャーク
Bは38.2-61.8 XAリトレースメント、
Cは1.13-1.618 ABプロジェクション、
Dは0.886/1.13 XAエクステンションと1.618-2.24 BCプロジェクション、
Dがエントリーポイントになり、BCプロジェクション1.618-2.24の間がPRZ(ポテンシャルリバーサルゾーン)になります。
他のパターンと少し異なる特徴は、エントリーポイントのDはBCプロジェクション1.618-2.24を用いるという点です。
ハーモニックパターン ネンスター
ハーモニックパターン ホワイトスワン
ハーモニックパターン ブラックスワン
ハーモニックパターン スリードライブ
ハーモニックパターン 5-0(ファイブオー、ファイブゼロ)
ハーモニックパターン ナヴァーロ 200
XABCDを基点とします。
フィボナッチ指数、
B=23.6-78.6 XAリトレースメント、
C=88.6-113 (理想指数100) ABリトレースメント、
D=88.6-113 XAリトレースメント、
フィボナッチタイム、
0から1がXAB、
1から2がBCD、
Dがエントリーポイントになり、88.6-113 XAリトレースメントの間とフィボナッチタイム1.8から2.2の間がPRZ(ポテンシャルリバーサルゾーン)になります。
ハーモニックパターン 121(One2One)
ハーモニックパターン学習の書籍紹介
ハーモニックパターンを使ったトレード手法の学習に役立つ書籍について紹介します。
フィボナッチ逆張り売買法
日本語で書かれている数少ない良書です。ガートレイ、バット、バタフライなどハーモニックパターンから典型パターンまで網羅されており、値段も手ごろです。
Harmonic Trading
ハーモニックパターンの生みの親、スコット=M・カーニー氏の著作ですが、英語版のみ。各種ハーモニックパターン (ガートレイ、バット、バタフライ、クラブ) を中心に、パターン成立条件や、より望ましいパターン成立の条件など豊富な事例付きで解説されておりかなり評価が高いです。
まとめ ハーモニックパターンの基本はABCD
ハーモニックパターンの基本を中心に解説してみましたがいかがでしたか?
この手法を勉強して思ったのは、フィボナッチツールを使ったトレードの重要さです。数値が決まっているためエントリーしやすいですし損切ポイントも迷うことがありません。
ただ一つ断っておきたいのですが、ハーモニックパターンのみを信用したトレードでは安定して稼ぐことは難しいと思います。
ハーモニックパターンを1つの根拠として、他のインディケーターやトレンドライン、ローソク足の形をみてトレードしていきましょう。
ヘッドアンドショルダー(三尊)やエリオット波動などのチャートパターンも合わせて見るとより有力なエントリーの根拠になりますよ。
ハーモニックパターンは他にもあるので興味があれば是非他の記事も読んでみてください。
ハーモニックパターン記事一覧
参考文献:
ハーモニックパターン – TradingView
ABCD – fbs
ハーモニックパターン①『ガートレー』 – ゆきまさFX
FXで使えるハーモニックパターンの基礎を理解する – 自由戦記
主要なハーモニックパターンの紹介 – GogoJungle
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