2026年11月3日、米国で中間選挙が実施されます。
トランプ政権の今後の政策運営を左右する重要な政治イベントですが、投資家にとって注目したいのは、選挙結果だけではありません。
実は、米国株式市場には中間選挙から1年後に株価が上昇しやすいという興味深いアノマリーがあります。
1950年から2022年までの19回の中間選挙では、選挙から12カ月後のS&P500がすべて上昇。平均上昇率は約15%でした。

さらに、ビットコインも2014年・2018年・2022年の過去3回の中間選挙から1年後には、すべて上昇しています。
ただし、選挙直後から上昇したわけではありません。過去には中間選挙後にビットコインが45%以上下落したケースもあります。
この記事では、米国中間選挙と株価の歴史的な関係、過去3回のビットコインの値動き、そして2026年の相場で注目したいポイントを詳しく解説します。
米国中間選挙とは?2026年の投票日は11月3日
米国の中間選挙とは、大統領の4年間の任期の中間にあたる2年目に実施される議会選挙です。
2026年の投票日は11月3日です。
今回の選挙では、下院435議席すべてと、上院のおよそ3分の1が改選されます。

中間選挙が重要なのは、大統領の所属政党が議会の多数派を維持できるかどうかによって、政策運営が大きく変わる可能性があるためです。
例えば、共和党が議会の多数派を失った場合、トランプ政権が進める減税や財政政策などの成立が難しくなる可能性があります。

反対に、共和党が多数派を維持すれば、政策を継続しやすい環境になると考えられます。
こうした政治的な変化は、企業活動や投資家心理を通じて、米国株式市場にも影響を与えます。
2026年の米国中間選挙の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 投票日 | 2026年11月3日 |
| 選挙の種類 | 米国議会中間選挙 |
| 下院 | 全435議席を改選 |
| 上院 | 約3分の1を改選 |
| 注目点 | 共和党が議会の多数派を維持できるか |
| 金融市場への影響 | 税制、財政政策、規制、投資家心理など |
S&P500は中間選挙後に19回連続で上昇
米国の代表的な株価指数であるS&P500には、中間選挙に関連する興味深い統計があります。
Capital GroupやJ.P. Morgan Asset Managementが紹介しているデータによると、1950年から2022年までの19回の中間選挙では、選挙から12カ月後のS&P500が19回すべてで上昇していました。
平均上昇率は約15%です。

米国中間選挙後のS&P500騰落率
| 中間選挙の年 | 12カ月後の騰落率 |
|---|---|
| 2002年 | 約+14.9% |
| 2006年 | 約+6.7% |
| 2010年 | 約+3.7% |
| 2014年 | 約+4.5% |
| 2018年 | 約+11.7% |
| 2022年 | 約+14.5% |
※選挙日前後の終値を基準とした概算。データの取得日や計算方法によって数値は多少異なります。
19回すべてで上昇していたということは、過去の観測に限れば上昇した割合が100%だったことを意味します。
ただし、これは将来の上昇確率が100%という意味ではありません。
また、S&P500は長期的に上昇してきた株価指数です。そのため、選挙後の上昇がすべて中間選挙の影響によるものとは限りません。
それでも、70年以上にわたって同じ傾向が確認されていることは、相場を考えるうえで興味深い材料です。

なぜ米国中間選挙後に株価は上昇しやすいのか?
中間選挙後に株価が上昇しやすい理由として、主に3つの要因が考えられます。
1. 政治的不確実性が解消される

選挙前は、どの政党が議会の多数派を獲得するか分かりません。
そのため、税制や規制、財政政策などの見通しが不透明になり、投資家が積極的な売買を控えることがあります。
しかし、選挙後には議会の構成が明らかになります。
今後の政策を予測しやすくなることで、投資家心理が改善し、株式市場に資金が戻る可能性があります。
2. 急激な政策変更が難しくなる

大統領の所属政党と議会の多数派が異なる場合、大規模な政策変更には与野党の合意が必要になります。
このような状況では、急激な税制変更や規制強化が実施されにくくなる可能性があります。
市場が政策の安定性を好意的に受け止めれば、株価にとってプラスとなる場合があります。
ただし、議会の対立が深まれば、予算協議の難航や政府機関の一部閉鎖などが不安材料になることもあります。
3. 選挙前の下落から反発する

中間選挙の年は、政治的な不透明感などから株式市場が不安定になる場合があります。
選挙前に株価が大きく調整していた場合、不透明感の解消とともに買い戻しが進む可能性があります。
ただし、これらは中間選挙後の上昇を説明するための仮説です。
実際の株価には、企業業績、FRBの金融政策、景気循環、インフレ率など、さまざまな要因が影響します。
ビットコインも過去3回の中間選挙後に上昇していた
では、米国株の上昇アノマリーは、ビットコインにも当てはまるのでしょうか。
ビットコインは歴史が短いため、比較できる中間選挙は2014年、2018年、2022年の3回です。

それぞれの値動きを確認します。
2014年の中間選挙:弱気相場から徐々に回復
2014年11月の中間選挙当時、ビットコインは2013年末につけた高値から大きく下落し、弱気相場の途中にありました。

選挙後も下落が続き、2015年1月には170ドル台まで下落しました。
しかし、その後は徐々に回復。
選挙から12カ月後のビットコイン価格は、約25%上昇していました。
重要なのは、選挙後すぐに上昇したわけではないという点です。
2018年の中間選挙:選挙後に45%以上の下落
2018年11月の中間選挙当時、ビットコインは6,400ドル台で推移していました。
ところが、選挙後に大きな下落が発生。

同年12月には3,200ドル台まで下落し、価格が半分近くになりました。
しかし、この下落が長期的な底となり、2019年には大きく反発します。
結果として、選挙から12カ月後には約45%上昇していました。
2018年の事例は、1年後に価格が上昇していても、その途中で大幅な下落が発生する可能性があることを示しています。
2022年の中間選挙:FTX問題からの回復
2022年11月の中間選挙と同じ時期には、大手暗号資産取引所FTXの経営危機が表面化しました。

ビットコインは急落し、同月には15,000ドル台まで下落しました。
しかし、2023年に入ると相場は回復します。
米国の銀行不安や金融政策への期待など、さまざまな要因が重なり、ビットコイン価格は上昇しました。
選挙から12カ月後には、約92%上昇していました。
過去3回のビットコイン価格を比較
| 中間選挙 | 選挙から1年後 | 選挙直後の特徴 |
|---|---|---|
| 2014年 | 約+25% | 選挙後も下落が継続 |
| 2018年 | 約+45% | 約1カ月で45%以上下落 |
| 2022年 | 約+92% | FTX問題で急落 |
※ドル建ての概算。選挙日を起点とした比較で、使用する取引所や終値の基準によって多少の差があります。
このように、過去3回の中間選挙では、ビットコインも選挙から1年後にすべて上昇していました。
ただし、サンプル数はわずか3回です。
この結果だけで、中間選挙後のビットコイン上昇が統計的に確立された法則だと判断することはできません。
中間選挙とビットコインの半減期サイクルの関係
ここで注目したいのが、ビットコイン独自の半減期サイクルです。
ビットコインには約4年ごとにマイニング報酬が半分になる半減期があります。
過去には、この半減期を中心として大きな上昇相場と下落相場が繰り返されてきました。

興味深いことに、2014年、2018年、2022年の中間選挙は、いずれもビットコインの弱気相場の終盤に近い時期と重なっています。
| 中間選挙 | 直前の半減期 | 当時の市場環境 |
|---|---|---|
| 2014年 | 2012年11月 | 2013年の高値から下落 |
| 2018年 | 2016年7月 | 2017年の高値から下落 |
| 2022年 | 2020年5月 | 2021年の高値から下落 |
| 2026年 | 2024年4月 | 今後の市場サイクルを検証 |
つまり、中間選挙後にビットコインが上昇したのは、選挙の影響ではなく、半減期を中心とした市場サイクルによる可能性もあります。
両者は約4年周期で重なりやすいため、どちらが価格上昇に影響したのかを切り分けることは難しいのです。
半減期とビットコイン価格の関係については、以下の記事でも詳しく解説しています。
2026年の米国中間選挙はビットコインに追い風となるのか?
2026年11月3日の中間選挙が、ビットコインの上昇につながる可能性はあるのでしょうか。
考えられるのは、米国株式市場を通じた間接的な影響です。
近年のビットコインは、米国株やハイテク株と連動する場面が増えています。

中間選挙後に政治的不確実性が解消され、米国株が上昇基調に転じれば、ビットコインにも資金が流入しやすくなる可能性があります。
一方で、米国株が上昇しても、ビットコインが必ず上昇するとは限りません。
ビットコインには、暗号資産市場独自の需給や投資家心理も影響するためです。
また、2026年には中間選挙以外にも注意すべきリスクがあります。
米国の長期金利、AI関連企業の巨額投資と債務問題、フランスをはじめとする欧州の財政不安などです。

さらに、米国議会の構成が変われば、暗号資産に関する規制や法整備にも影響する可能性があります。
したがって、過去のアノマリーだけを根拠に、ビットコインの上昇を判断するのは慎重であるべきだと考えます。
2026年の中間選挙前後に注目したい3つの指標

私が今後確認したいのは、次の3つです。
① S&P500の値動き
最初に注目するのは、S&P500の値動きです。
過去19回の上昇アノマリーが今回も繰り返されるのか。
特に、11月3日の中間選挙前後から上昇基調に転換するかを確認したいと思います。
TradingViewで確認する場合は、S&P500指数の「SPX」を利用できます。
② 米国10年国債利回り

2つ目は、米国10年国債利回りです。
米国株が上昇しても、長期金利が大きく上昇すれば、株式やビットコインにとって逆風となる可能性があります。
中間選挙後の財政政策やFRBの金融政策と合わせて確認する必要があります。
TradingViewでは「US10Y」で確認できます。
③ ビットコインと米国株の連動性

3つ目は、ビットコインとS&P500の値動きの違いです。
S&P500が上昇した際、ビットコインも追随するのか。
それとも、米国株が堅調でもビットコインだけが弱い値動きを続けるのか。
この違いは、ビットコイン独自の買い需要を確認するうえでも重要です。
米国中間選挙とビットコインに関するよくある質問
Q. 米国中間選挙後は必ず株価が上昇する?
いいえ。1950年から2022年までの19回では、S&P500が選挙から12カ月後にすべて上昇していましたが、2026年も同じ結果になる保証はありません。
Q. ビットコインも中間選挙後に必ず上昇する?
過去3回の中間選挙では、1年後のビットコイン価格がすべて上昇していました。ただし、比較できるデータは3回しかなく、法則と断定することはできません。
Q. 中間選挙後すぐにビットコインを購入すればよい?
過去の値動きからは、そのように判断できません。
2018年には選挙後に45%以上の下落が発生しています。購入時期を考える場合は、短期的な下落リスクも考慮する必要があります。
Q. 中間選挙とビットコインの半減期には関係がある?
米国中間選挙は4年ごと、ビットコインの半減期もおよそ4年ごとに発生します。
そのため、両者のタイミングは一定の周期で重なります。ただし、直接的な因果関係が確認されているわけではありません。
まとめ|中間選挙後の上昇アノマリーは2026年も続くのか?
今回のポイントを整理します。
* 過去19回の平均上昇率は約15%
* ビットコインも2014年・2018年・2022年の中間選挙から1年後にはすべて上昇
* ただし、2018年には選挙直後に45%以上の下落が発生
* ビットコインの上昇には半減期サイクルが影響した可能性もある
過去のアノマリーと現在の市場サイクルが重なっていることは、長期的な相場の転換を考えるうえで興味深い材料です。
しかし、過去の統計が未来を保証するわけではありません。
私自身は、中間選挙の結果だけでなく、S&P500、米国10年国債利回り、ビットコイン独自の需給を確認しながら、長期的な相場の方向性を判断したいと考えています。
今回のテーマについては、YouTubeでも実際のチャートを使いながら詳しく解説しています。
▼動画はこちら
参考資料
* Capital Group|How U.S. midterm elections may affect markets
* J.P. Morgan Asset Management|How do markets perform post-midterms?
* USAGov|Congressional elections and midterm elections



