ビットコインのチャートでも様々なテクニカルツールが機能しますが、今回は日本生まれの世界的有名なインジケーター「一目均衡表(一目雲 ichimoku)」をご紹介します。
日本生まれのインジケーターとして最も有名で、現在では世界中のトレーダーに親しまれています。
一目均衡表は有名なテクニカルツールなので知っている方がほとんどだと思いますが、正しい使い方を知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。
ビットコインFXで一目均衡表と、相性抜群なRSIを併用したトレード方法も解説します。
一目均衡表(一目雲:ichimoku)とは
開発者が日本人の国産インジケーター
一目均衡表(一目雲)は、日本の都新聞の商況部長として活躍した株式評論家、細田悟一(ペンネーム:一目山人-いちもくさんじん)によって1936年(昭和11年)に発表された奥が深いテクニカル指標です。
海外ではIchimokuもしくはIchimoku cloudと呼ばれ今や世界中で使われています。
相場は売り手と買い手の「均衡(パワーバランス)」が崩れた方向に値が動き、方向性が確立した相場の行方は一目瞭然である、という考え方に基づいた総合的なテクニカル指標です。
日本産で最も押さえておきたい指標です。一目瞭然、ひと目見てわかる、というのが名前の由来だそうです。
一目均衡表の特徴は、多くのテクニカル分析がチャートの縦軸である「価格」に着目しているのに対し、一目均衡表は横軸である「時間」も重視し、価格とともに「いつ相場が変化するのか」というタイミングまで示唆してくれる点です。
一目均衡表は5つのラインで構成されている
一目均衡表は、ローソク足と「基準線」「転換線」「遅行線(遅行スパン)」「先行スパン1・2(雲)」という5つのラインから形成されています。
一目均衡表5つのラインの見方
基準線 | 過去26日(26本)間の最高値と最安値の平均値を表す線 |
---|---|
転換線 | 基準線の期間を短くした過去9日の最高値と最安値の平均値を表す線 |
遅行線 | 現在チャートの終値を過去26日(26本)分ずらして表示した線 |
先行スパン1 | 基準線と転換線の平均を26本分先行表示した線 |
先行スパン2 | 過去52本分の最高値と最安値の平均を26本分先行表示した線 |
雲 | 先行スパン1と2に囲まれた部分 |
①基準線(Base line)
基準線は、過去26日(26本)間の最高値と最安値の平均値を表す線です。
高値or安値が更新されない限り値が変わらないので基準線は階段状のカクカクしたラインになります。
基準線の重要な役割は、相場の方向性を示してくれるところです。
- 転換線が基準線を上抜け→買いサイン
- 転換線が基準線を下抜け→売りサイン
また、ローソク足との位置関係を考慮して見ると、
- 基準線が上向きでローソク足が基準線より上にあれば強気相場、
- チャートが基準線を下抜け、基準線も下向きであれば弱気相場
となります。
また基準線が平行もしくは、チャートが基準線を何度もまたいでいるときはレンジ相場と判断できます。
②転換線(Conversion line)
転換線は、基準線の期間を短くした過去9日の最高値と最安値の平均値を表す線です。
基準線より短期的な動きを示唆するラインです。
転換線の見方も基準線と同様、
転換線が上向きでローソク足が転換線より上にあれば強気相場、
チャートが転換線を下抜け、転換線も下向きであれば弱気相場となりますが、基準線より先行して動くのでトレンド転換をより早く知ることが出来ます。
- 転換線が基準線の上にあれば強気、
- 転換線が基準線の下にあれば弱気
と見ることができます。
基準線や転換線は、サポートやレジスタンスとして機能します。
チャートが転換線を下抜けても、転換線が基準線を下回っていない場合は基準線がサポートとなり、チャートが基準線まで落ちたところで反発を期待してロング(下抜けたらショート)という感じで売買ポイントを判別します。
③遅行スパン、遅行線(Lagging span)
遅行スパン(遅行線)はユニークで、単純に現在チャートの終値を過去26日(26本)分ズラして表示しています。
遅行スパンの見方は、遅行スパンがローソク足より上にあれば強い相場、下にあれば弱い相場とみます。
つまり、
- 遅行スパンがローソク足を上抜け→買いサイン
- 遅行スパンがローソク足を下抜け→売りサイン
と判断できます。
④⑤雲を構成する先行スパン1・2(Lead)
先行スパン1が基準線と転換線の平均(基準線+転換線÷2)、先行スパン2は過去52本分の最高値と最安値の平均を、それぞれローソク足26本分先行させて表示させています。
この先行スパン1と2で囲まれた間のゾーンを「雲(Cloud)」と呼び、過去に価格がもみ合ったゾーンを表しています。雲はレジスタンスもしくはサポートとして機能します。
- チャートが雲を上に抜ける→強気相場
- チャートが雲の下へ抜ける→弱気相場
- チャートが雲の中にいる→方向性がはっきりしていない
また、雲の厚さも判断材料となります。
トレンドが強まるほど、先行スパン同士の乖離が進み雲が厚くなるからです。
- 雲が厚い→トレンドが維持されやすい
- 雲が薄い→トレンドが反転しやすい
という風に相場を判断することが出来ます。
一目均衡表(一目雲)の売買シグナルまとめ
基準線と転換線の売買サイン
基準線=長期移動平均線、転換線=短期移動平均線とみることができます。
- 転換線が基準線を上抜け→買いサイン
- 転換線が基準線を下抜け→売りサイン
遅行スパンの売買サイン
- 遅行スパンがローソク足を上抜け→買いサイン
- 遅行スパンがローソク足を下抜け→売りサイン
先行スパン(雲)の売買サイン
- ローソク足が雲を上に抜ける→買いサイン
- ローソク足が雲の下へ抜ける→売りサイン
雲だけを使ったトレード戦略
パターンA
- 雲が薄くなってるポイントをローソク足が下から上に突き抜ける→買いサイン
- 雲が薄くなってるポイントをローソク足が上から下に突き抜ける→売りサイン
パターンB
- 雲の中で停滞していたローソク足が上抜ける→買いサイン
- 雲の中で停滞していたローソク足が下抜ける→売りサイン
パターンC
- 雲をサポートとして反発する→買いサイン
- 雲をレジスタンスとして反発する→売りサイン
一目均衡表の応用戦術:三役好転と三役逆転・雲のねじれ
ローソク足と雲の関係で判断する「三役好転」「三役逆転」という一目均衡表ならではのチャート分析法があります。
三役好転と三役逆転とは、以下の3つを重視する分析法です。
- 転換線と基準線のクロス
- 遅行スパンとローソク足のクロス
- ローソク足が雲を抜ける
三役好転
三役好転は、相場の強い上昇を示唆しており以下3つ(2つ)の条件が揃った時をいいます。
- 転換線が基準線を上抜ける(ゴールデンクロス)
- 遅行スパンがローソク足を上抜ける
- ローソク足が雲から上抜ける
3つ揃ったら成立とみる説がありますが、基本的には「ローソク足が雲から抜ける」が最後になり見切り発車にチャートを見てどちらの条件が今の相場で機能しているかを判断します。
この3つが真逆の動きだった場合は、相場の強い下落を示唆する三役逆転となります。
三役逆転
三役逆転は、相場の強い下落を示唆しており以下3つ(2つ)の条件が揃った時をいいます。三役好転の真逆と覚えればいいです。
- 転換線が基準線を下抜ける(デッドクロス)
- 遅行スパンがローソク足を下抜ける
- ローソク足が雲から下抜ける
雲のねじれ:先行スパンのクロス
雲を形成している先行スパン1と先行スパン2がクロスする場面を雲のねじれと言います。
それまでの相場の流れが転換・または加速する重要なポイントです。
上の引用画像の例では上手く機能してトレンド転換が起こっていますが、そこまで確度の高いものではないので、トレンド転換が起こりやすいという程度で覚えておきましょう。
先行スパンの動きを見ると、何本先でクロスが起きる(トレンド転換がおきやすい)ということが予測できる点が大きなメリットです。
一目均衡表インジケーターの表示・設定方法(Tradingview)
一目均衡表(Ichimoku)の表示
TradingViewの画面に表示されているチャートのグラフマーク「インジケーター&ストラテジー」をクリックし、検索窓に「ichimoku」と入力すると「ichimoku Cloud(一目均衡表)」が出てきます。一目雲(一目均衡表)が追加されました。
一目均衡表の設定方法
設定はインジ名横の歯車アイコンから変更することができます。基本的には初期設定のまま使用すればいいと思います。好みの色があれば変更してもいいかも。
一目雲(一目均衡表)を消したい時は削除の項目で選択できます。
一目均衡表を使ったトレード具体例
週足や日足など長めの時間足での一目均衡表の三役好転(逆転)と雲のクロスは、有力なトレンド発生のシグナルとなります。
長期足でシグナルを発見したら好転で買い、逆転で売りと考えるのですが、
実際のエントリーでは、三役が揃う前にエントリーしていて、結果三役が揃っているという感じのトレードになることが多いです。
雲からの上抜け、は最後になることが多いです。
こうした特徴を踏まえると、三役揃うのを待ってエントリーするより、長い時間足でトレンドを確認し、エントリーは別のテクニカル指標と組み合わせて使うほうが効率的かもしれません。
【日足で三役好転が完成しているときは短い時間足で押し目を探す】
日足で三役好転の強気相場だった場合、どのタイミングで買うかということになりますが、
そんなときは時間軸を短くして、日足と同じ方向に三役が揃うのをまって押し目でエントリーするといいです。
1時間足で、まず遅行スパンがローソク足を上抜けて「一役」達成。
その数本後に転換線が基準線を上抜けして「二役」。
最後にローソク足が雲を上抜けて「三役」。
「二役」が揃ったのを見つけたら、残りの「一役」(たいていは雲)が完成するのをまってエントリーしていくと、効率のよい押し目・戻り売りができます。
ビットコインチャート(日足)が三役好転でこのように遅行線、転換線と基準線、雲の上抜けを確認しました。
今から起きる大きな上昇トレンドの始まりかもしれませんね。
一目均衡表とRSIを併用したトレード戦術
一目均衡表の雲とRSIで順張りトレード
まずチャートには、一目均衡表の雲とRSIを表示させてください。
エントリー方法は、ローソク足が雲の上にあり、RSIが30%を下回った場合ロング。
ローソク足が雲の下にあり、RSIが70%を上回った時にショートでエントリーです。
利益確定は、買いの場合はRSIが70%を上回った時、売りの場合はRSIが30%を下回った時です。
これである程度今後の相場を予想することができるので使って見てください。
その他、RCI、ボリンジャーバンド、MACDなどのインジケーターを組合せて使うトレーダーが多いようです。※移動平均線は転換線と基準線で代用できるので個人的にはあんまり併用しない。
まとめ:一目均衡表の知名度は伊達じゃない
一目均衡表(一目雲)の見方・設定方法とトレード戦略などをまとめて解説してみましたがいかがでしたか?
一目均衡表は雲のみを使った手法が有名ですが、5つの線で構成された複合的なトレンド分析方法だということまで知らなかったという人もいるのではないかと思います。
それにしても雲が視覚的にレジスタンスやサポートとして機能するというのはちょっと変わった指標ですよね。
ichimokuは世界で本当によく使われていて、ichimokuを使った派生ストラテジー(戦略)も色々と公開されています。(TradingViewで使えます)
また一目均衡表はトレンド系のテクニカル指標なので、RSIやMACDなどのオシレーター系指標と組み合わせることでより精度が高まると言われています。
多くの取引所の標準チャート機能で使うことができるので、自分がトレードしやすいオリジナルのインジ組み合わせを研究したり、好きなチャートにカスタマイズしてみてくださいね。
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コメント欄
素人でまことに僭越ながら、ご教授ください。「一目均衡表の雲とRSIで順張りトレード」の欄で、説明ではロウソク足が雲の上にあり、RSIが30以下でロングとあるのですが、図のトレード例を見るとRSI70以上のショートが書かれています。一目+RSIの使い方としてはトレンドが加熱しすぎている時の逆張り的に使うという理解で良いのでしょうか。
はい、RSIを考慮する場合はトレンドの逆張り指標となることが多いかもしれません。
雲を抜けているにも関わらずRSIが過熱していない場合、順張りの指標となります。