ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)というちょっと変わったインジケーターの見方について解説します。
ATRは、真の値幅に基づいて市場のボラティリティ(価格変動)を測る指標として、商品先物取引向けに開発されたものですが、トレンドの天井と底の予測が明確で使いやすいので今では広く使われているテクニカル指標です。
とても覚えやすい使い方なので、トレードスキル向上の肥やしに理解しておきましょう。
ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)とは
ATR(Average True Range:アベレージ・トゥルー・レンジ)は、その銘柄の平均的な1日の値動き(真の値幅平均)のボラティリティーから相場の過熱感(買われ過ぎ・売られ過ぎ)を計測するオシレーター系テクニカル指標です。
pivot pointやパラボリックSARでの開発者としても知られるJ・ウェルズ・ワイルダー氏が1970年代半ばに開発しました。
相場の変動が大きい傾向なのか小さい傾向なのかボラティリティーを把握することで、利確や損切りポイントを明確に決めることができるというのが最大の特徴です。
エントリーポイントが明確に決まれば狼狽することなくトレードできます。
ATRの計算式
まず1日の最大の値動き幅、つまり真の値幅(TR:True Range)を計測します。
以下3つのうち、最も大きい値幅のものが当日のTR(窓開けを含む)となります。
- 当日の高値-前日の終値
- 前日の終値-当日の安値
- 当日の高値-当日の安値
真の値幅(TR:True Range)のn日間(通常14)のEMA(指数平滑移動平均線)がATR(アベレージトゥルーレンジ)となります。
ATRの見方・使い方
ATRが表すものはボラティリティです。ボリンジャーバンドもボラティリティを元にした代表的なテクニカル指標ですが、ボラティリティの変化を確認することはトレードをする上でとても大事ですよね。
ATRは現在のボラティリティから起こりうる値幅を予想するので、損切りポイント、つまり資金管理やリスク管理として使われます。
冒頭でも言いましたが、ATRの見方は単純で覚えやすいです。
ATRの見方(トレンドの把握)
ATRの安定=現在のトレンドの継続。ATRが少ない状態で安定している場合はもみあい相場。
ATRの減少=トレンドの終了。
ATRが上昇してボラティリティが高い場合、取引数量を減らす、ATRが減少すれば取引量を増やすことも検討する、という風に考えることができます。
ATRの見方(利確損切りのエントリーポイント)
ATRはトレンドの強さ、つまりボラティリティを予測するものですが、利確や損切りポイントの予測にも利用します。とても単純な使い方です。
まず、ATRの3倍の数値を計算します。
上のチャートの現在数値でいうとだいたい370ですね、つまり
となります。
次に、利確目標と損切りポイントを算出します。
エントリー価格の9371ドルから1110を足した数値が利確ポイント、引いた数値が損切ポイントとなります。つまり
損切目安:9371-1110=8,261ドル
となります。
買いでエントリーする場合はこのようになりますが、ショートの売りでエントリーする場合は引いた価格が利確ポイントに、足した価格が損切ポイントになります。
ATRをチャートに表示する(期間設定)
TradingViewの「インジケーター&ストラテジー」からATRと検索すると内蔵インジケーター「ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)」が先頭に表示されます。
ATRはチャート下のサブウィンドウに1本のラインで表示されます。
歯車アイコンから期間を変更できますが、14とするのが一般的です。TradingViewでも14に初期設定されています。
ATRを使う注意点
ATRに売買シグナルはない
ATRはボラティリティを測り、そこから利確と損切りポイントを具体的数値で算出できるインジケーターなのですが、適切な売買シグナルを発するようなテクニカル指標ではありません。
売買シグナルのある指標と併用する
なので、ATRは単体で使うよりも他のインジケーターと併用することが多いと思います。
ATRがオシレーター系指標なので、トレンド系の売買シグナルがあるインジケーターと併用すると相性がいいと思います。
トレンド系指標で売買シグナルがあるものと言えば、移動平均線のゴールデンクロス・デッドクロスでエントリーするとか、一目均衡表の雲のねじれ・三役好転でエントリーするとかが代表的ですかね。
ATRのまとめ
損切り利確ポイントを見極めるATRインジケーターの見方・FXトレード手法と使い方について解説してみました。
ATRはシンプルな使い方のインジケーターですが、その分色んなトレード手法や場面で使うことができる何かと便利な指標です。
有名なインジケーターだけでなく、長く支持されているインジケーターの役割をしっかり理解することで、最適なトレードでの活用方法が分かってくるし、相場観を養うことにもつながります。
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